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AI時代を見据えたクラウドの現在地 最終回 立ち向かうCIer 混沌と化す市場で存在感を発揮できるか

2024/02/19 09:00

週刊BCN 2024年02月19日vol.2003掲載

 日本におけるクラウドの発展にCIerの存在は欠かせない。クラウドネイティブな開発力を強みに市場をリードし、進化するテクノロジーをユーザーへ届け続けた。そして今、クラウドは市民権を得るに至った。顧客は大手から中堅、中小まで業種、職種を問わず全方位的に広がり、市場の成長と軌を一にするようにCIerは伸長を続けている。ただ、市場の広がりはプレイヤーの増加と同義であり、草創期には見られなかった大規模SIerまでもクラウドを主軸としつつある。混沌と化す市場で、CIerはどう存在感を発揮し、ライバルに立ち向かっていくのだろうか。創刊2000号記念連載の最終回は、CIerの今とこれからを見つめる。
(取材・文/齋藤秀平、藤岡 堯、岩田晃久、安藤章司)
 

クラスメソッド
「1点集中突破」の姿勢で勝負

 「アーリーアダプターのフェーズを超えて、より多くの企業がクラウドを使うモードになっている」。「Amazon Web Services」(AWS)を中心に事業を展開するクラスメソッドの横田聡代表取締役は、クラウドに対する企業の動向についてこう語る。市場での競争が激化する中、今後は「1点集中突破」の姿勢で勝負し、ニーズに合わせて自社の変革も進める考えだ。
 
クラスメソッド 横田 聡 代表取締役

 企業がクラウドを活用する場合、まずは自らシステムを構築することを考える。しかし、「自社で対応できればいいと思う企業は多いが、なかなかやりきれない」と横田代表取締役。一方、従来のベンダーに開発を丸投げした場合、コストが高くなりすぎることがハードルになり、「安く、速く、事業に貢献するためにどうしたらいいだろうとなったとき、今までと同じように声をかけてもらっている」と話す。

 同社がAWSを取り扱い始めたのが2008年ごろで、13年ごろまでは企業による様子見の状況が続いた。その後、徐々にクラウド活用の機運が上昇し、クラウドが「当たり前」に。現在はクラウドで成果を出す企業が増え、企業側も、インテグレーター側も、クラウドでビジネスを回したり、新しいデジタルの取り組みを進めたりしているという。

 直近の生成AIやビッグデータなど、さまざまな技術が注目を集めてきた。ただ、横田代表取締役は「いろいろなトピックは追加されるが、クラウドがほかのものに代わる感じはない」と指摘。ユーザーからの要望は「まんべんなく」(横田代表取締役)あり、問い合わせを受ける企業も数人から数万人まで幅広いそうだ。

 一方、クラウドへの注目が高まるにつれて、市場での競争は激しくなっている。同業やコンサルティング企業に加え、エンジニアの採用を進める事業会社も「見方によっては競合といえるかもしれない」と語る。とはいえ「ある程度、規模は大きくしないといけないが、大手と同じ仕事をするつもりはない」と断言する。

 他社との差別化を図るためは「局所的に特化したものを持って、圧倒的な1番を獲得していく」のが重要との見方を示し、「1点集中突破で針の穴を開けた後、その穴を大きくするように横展開するのが基本的な戦い方になるだろう」と説明。多くの顧客の案件を手掛ける中で得ている「圧倒的な知見」を生かす方針だ。AIに関しては、業務プロセスの見えないところでデータの利活用が進むような導入が増えると予想し、「業界や業務に特化した組み込み型のAI」の開発・提供に注力するとしている。

 同社は約3300社の顧客を抱えている。顧客と対話する中で、最近は相談のレベルが上がっている。横田代表取締役は「クララウドの支援をした後、テクノロジーを起点としたビジネス寄りの上位層の相談が増えている」とし、今後のビジネスチャンスになると展望。さらなる成長に向けて「われわれ自身も変わらないといけない。人材の採用や育成を含めて新たなチームを組成し、お客様のマーケティングや事業の戦略をより手伝えるようにする必要がある」と力を込める。
この記事の続き >>
  • アイレット 先駆者の豊富な経験が力に
  • サーバーワークス AWS特化で成長を遂げる
  • テラスカイ SIerとの境界は曖昧になる

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