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AI時代を見据えたクラウドの現在地 第2回 国産クラウドの動向を探る GPU活用やデータ管理、生成AIに商機あり

2024/02/05 09:00

週刊BCN 2024年02月05日vol.2001掲載

 創刊2000号記念連載の第2回は、ハイパースケーラーと呼ばれる外資大手のパブリッククラウドとの差別化を模索する国産クラウドサービスの動向を探る。インフラの規模や提供している機能の数では海外勢と大きな差がある国産クラウドだが、国内企業や自治体のクラウド移行においては、既存のオンプレミスの資産との連携や、プライベートな基盤が必要となるため、ハイパースケーラーのサービスでは対応できないニーズは確実に存在する。また、海外に置くことが難しいデータの分析やAI活用の基盤として、あるいは経済安全保障の観点から、国内で完結するITインフラへの注目度も高まっている。厳しい競争環境の中、国産クラウドはどのように生き残りを図り、成長の道筋を描くのか。
(取材・文/安藤章司、堀 茜)
 

さくらインターネット
GPUクラウドを起爆剤にガバメントクラウド認定で官需狙う

 さくらインターネットは、生成AIなどで必要となるGPUクラウドに力を入れるほか、中央省庁や自治体が使うことを想定したガバメントクラウドのサービスに参入することで、自社のクラウドサービスの拡充を進めている。GPUクラウドでは、AI用の計算資源を国内に確保することを目的とした経済産業省の補助金を活用し、これによって基盤を整備した第1弾サービスとして2024年1月に「高火力PHY(ファイ)」の提供を始めた。ガバメントクラウドでは、25年度末までに技術要件を満たすことを条件に23年11月にデジタル庁から認定を受けた。
 
さくらインターネット 田中邦裕 社長

 GPUクラウドの需要増を起爆剤にするとともに、ガバメントクラウドの認定を受けることで、北海道で同社が運営する石狩データセンター(DC)を主要拠点とした国産クラウドサービスの普及促進に弾みをつける。

 クラウドサービスの拡大に取り組む背景には、外資系ベンダー優勢の中にあって、「国内ベンダーによるサービスの選択肢を提供する」(田中邦裕社長)ことで、主力事業と位置づけるデジタルインフラ事業を発展させる狙いがある。

 同社が捉えるデジタルインフラとは、▽クラウドサービス▽データ分析▽AI活用――の三つのデジタル基盤を指し、これらの領域で海外勢に対して劣勢にある国内ベンダーの存在感を高めていくことを目指す。折しも経済産業省では、自動運転やドローン物流などのデジタル技術を活用する基盤として「デジタルライフライン全国総合整備計画」を推進しており、田中社長はこれを「令和版の日本列島改造論」と受け取り、官需や民需に応えていく。
この記事の続き >>
  • 4月めどにパートナー制度を始動
  • 1000億円規模の投資も可能に
  • インターネットイニシアティブ マルチクラウドの活用支援とデータ保護規制への対応で存在感
  • 自国ベンダーが信頼される環境を
  • NEC 汎用性と独自性を両立 オンプレミスと生成AIで特色を出す
  • オファリングと生成AIを強みに

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