Special Feature
パートナービジネスが成長の原動力 サイボウズの成功要因を解き明かす
2023/12/14 09:00
週刊BCN 2023年12月11日vol.1995掲載
(取材・文/袖山 俊夫 編集/齋藤秀平)
一緒にビジネスを広げていく
サイボウズの連結売上高は、右肩上がりを維持している。2022年12月期通期の売上高は220億6700万円(前期比19.4%増)で、10年前と比較すると4倍以上となっている。売上高の拡大をけん引しているのはクラウド事業だ。クラウドの売上高は186億4900万円(同23.8%増)で、売上構成比では84.5%を占めている。プロダクト別では、ノーコード/ローコードツール「kintone」の躍進ぶりが目立っており、売上高は104億1400万円(同32.4%増)と初めて100億円を突破。導入社数は3万社を超えている。好調の要因について、執行役員の玉田一己・営業本部長は「最も注力しているkintoneの売上拡大が大きい。コロナ禍において、専門知識がなくてもアプリケーションがつくれるツールとして一段と注目を集めた。さらに、テレビCMを中心に広告宣伝を強化したことで認知度も向上した。いろいろな要素が重なった結果だ」と分析する。
多くのSaaS企業がパートナービジネスにおいて苦戦している中、同社は数少ない成功企業といえる。22年の国内のクラウド関連売上高のうち、パートナーによる販売割合は61.6%で、直販を大きく上回っている。しかも、パートナー関連の割合と売上高は年々、増加傾向にある。なぜ優れた実績を収めることができているのか。
玉田執行役員は「パートナーの戦略にいかに合わせていくかを真剣に考えている。それに、パートナービジネスに長く取り組んできている点も強みだ。新興のクラウドベンダーは、どうしても短期の実績を求めてしまい、物販に近いかたちで販売している。kintoneはかたちがないだけに、われわれがパートナーを動機付けるための提案の幅が広く、プロダクトとしての独自性がある」と説明する。パートナーからしても、コンサルティング要素を織り込むなど付加価値をつけやすいという。
22年12月時点の同社のパートナーの数は約400社。顔ぶれは多彩で、大手のITベンダーや複合機販社のほか、各地の事務機器・OAベンダーやシステム開発会社などがビジネスを展開している。さらに最近は、地方銀行や人材派遣会社など非IT系企業との協業も増えているという。
玉田執行役員は「(パートナー網は)地域的にもかなり広がってきており、どの都道府県にもパートナーが存在する。しかも、当社は地方に8拠点を構えており、パートナーの要望に対してフットワーク軽く応じることができる。いずれの拠点もパートナーと連携してクロージングすることを何よりも優先しているので、安心感を持っていただけている」と語る。
同社がパートナーに対して最も期待しているのは、一緒にビジネスを広げていくことだ。そのためにも、WinWinの関係構築を目指している。玉田執行役員は「われわれだけが大きくなっても仕方がない。パートナーにもメリットを感じてもらい、継続してビジネスを行っていけば『何かいいことがきっとある』とお互いに思えるような関係をつくり上げていくことが大切だ」と強調する。
そのためにも、取り組んでいくべきテーマはまだまだあるようだ。玉田執行役員は「今後はエンタープライズ企業をどう攻めるかが課題となってくる。売り上げの最後はパートナーと一緒につくるものの、われわれ自身の足腰も強くしていく必要がある。お客様をしっかりとグリップして、ダイレクトに提案できる営業体制にしていきたい。そのノウハウが、パートナービジネスにも生きてくると信じている」と抱負を語る。
- パートナーの現場を本気にさせる
- 非IT部門向けの機能開発などに焦点
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