Special Feature
デジタルツインの現在地と可能性 新たな価値を生む技術として注目
2023/12/11 09:00
週刊BCN 2023年12月11日vol.1995掲載
(取材・文/堀 茜)
現実世界の「再現」が本質
さまざまなITベンダーがデジタルツイン技術を提供しているが、その中身は多種多様だ。そもそもデジタルツインとは何を指すのか。関連の調査レポートを発表しているIDC Japanの小野陽子・Infrastructure&Devicesリサーチマネージャーは、明確な定義は難しいと前置きした上で「デジタルツインの本質は、データを機械が理解できるかたちに構造化、モデリングし、3Dで現実世界の双子として再現すること」と解説する。
デジタルツインは、予測によって事前に効率的な方法を試せる点が特徴だ。小野マネージャーによると、もともと建築や工業製品などの設計に使う3D CADで活用が進み、製造業や建設業で欠かせない技術になってきた経緯がある。
最近では、製品などの物体をデジタルツイン化するほかに、人流や交通など一定エリアの動きをデジタルツイン化する潮流もある。製造業などでは、リアルタイムでのデータ連携がより重要になり、デジタルツインをサプライチェーン全体に適用することで提供できる価値の向上が期待できるため、「静的、動的の両面でデジタルツインが必要になってくる」と展望する。
デジタルツインの普及に向けては「デジタルツイン基盤の上で動くアプリケーションなど、エコシステムの充実」を課題として挙げる。幅広い業界で活用されていくには、コストメリットを出すことも重要だと指摘する。
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