Special Feature
「AI for All」を掲げ誰一人取り残さずAIを届ける レノボ、年次イベント「Tech World 2023」を開催
2023/11/20 09:00
週刊BCN 2023年11月20日vol.1993掲載
(取材・文/堀 茜)
情報を守り生成AIを活用する「ハイブリッドAI」
基調講演に登壇したヤンチン・ヤン会長兼CEOは、イベントのテーマである「AI for All」について、ポケットからクラウドまであらゆるコンピューティング能力を提供している同社だからできることだとして、「全ての人にAIを届け、誰も取り残さない。インテリジェントトランスフォーメーションをあらゆる業界で実現したい」と決意を述べた。AI技術の中でも昨今とりわけ注目されているのが、生成AIだ。ヤンCEOは、トレンドの火付け役となった米OpenAI(オープンエーアイ)の「ChatGPT」など、パブリッククラウド上で一般に公開され、誰でもアクセスできるAIを「パブリック基盤モデル」と呼ぶ。パブリック基盤モデルは一般的な知識しか学習しておらず、ユーザーごとの個別の課題に最適化されていない点がビジネス活用において課題になる。自社のビジネスについて正確な答えを出したい場合には、リアルなビジネスデータや機密情報などをクラウドに開示しなければならない。
ヤンCEOは、「多くの企業は秘匿性の高いデータを自社で保有したいと考えている」と指摘。この課題を解決するため、個々の企業や個人に最適化された生成AIアプリケーションを、機密データやプライバシーデータを保護しながら活用できるようにする、レノボの「ハイブリッドAI」ビジョンを紹介した。生成AIのパワーを十分に引き出し、そこから大きな成果を得るためには、タイプの異なる複数の基盤モデルをハイブリッドで扱う必要があるという考え方だ。
ハイブリッドAI実現のため、ヤンCEOは、企業向けには「プライベート基盤モデル」、個人デバイス向けには「パーソナル基盤モデル」の確立がかぎになるとした。いずれも機密情報やプライベートデータをユーザーの環境にとどめたままで生成AIを活用できるメリットがある。企業のプライベート基盤モデルであれば自社のデータセンター内、パーソナル基盤モデルであればPCやタブレット、スマートフォンといった個人のデバイス内で処理を完結させるイメージだ。
同社のAI対応デバイスは、ローカルなナレッジベースに基盤モデルを構築しているのが特徴。AI対応PCの場合、パーソナル基盤モデルに学習させるデータは、デバイス内で指定したフォルダ内にあるデータのみに限ることができ、学習データがパブリッククラウドに送られる心配がない。ヤンCEOは「プライベートな基盤モデルを使うことで、データを保護し、プライバシーを守りながら生成AIのメリットを享受できる」と強調した。
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