Special Feature
生成AIがオラクルの全てを変える 米国で「Oracle CloudWorld」開催
2023/10/09 09:00
週刊BCN 2023年10月09日vol.1987掲載
(取材・文/谷川耕一 編集/日高 彰)
OCIはAI開発で圧倒的に速く コストも数分の1の安さ
エリソン会長による基調講演は、生成AIがITと社会にいかに大きな影響を与えるかが主題だった。エリソン会長は、「1年ほど前に生成AIが登場し、それが世の中の全てを変え、オラクルの全ても変える」と話す。これまで新しい技術に関心を示さなかった国の代表や政府首脳なども生成AIに関心を示している。一方でAI専門家などはこの新しい技術のリスクを懸念し、利用の規制を議論している。エリソン会長は、新しい技術への懸念もあるが「生成AIとそのための大規模言語モデル構築では、数十億ドル規模の投資が数え切れないほどある。この技術が最も重要なコンピューター技術であるかどうかを、みんなが知りたがっている」と指摘する。
「ChatGPT」を提供する米OpenAI(オープンエーアイ)を始め、今後1年でオラクルが支援するカナダのCohere(コヒア)やその他のベンダーが新しい大規模言語モデルを構築し、言語だけでなく画像や音楽、プログラムのコードなどを生成するだろう。新しい生成AI技術が、米Tesla(テスラ)など完全自動運転のクルマの完成を早めるかもしれない。そしてエリソン会長が最近高い関心を示す医薬分野でも、AIによる新薬開発などが加速している。
急激に生成AIが関心を集める状況は、オラクルのビジネスにどう影響するのか。エリソン会長は、同社にとっては良い影響になるという。オラクルでは、クラウド上のコンピューターでデータベースの処理を高速に行うために、コンピューター同士を高速に接続するRemote Data Memory Access(RDMA)というネットワーク技術を利用している。これは別のコンピューターのメモリに直接アクセスできるもので、従来のネットワークの何倍も速くメモリ間でデータを移動できる。
RDMAは大規模言語モデルをトレーニングするためのコンピューターや、ネイティブGPUで構成されたコンピューターでも有効だ。「GPUを相互接続することで、われわれのクラウドはほかのクラウドよりもはるかに速く動作する。クラウドでは時は金なりで、2倍速いことはコストが半分になること。3倍速ければコストは3分の1になる」とエリソン会長。AIモデルのトレーニングでは他のクラウドよりも圧倒的に速く、何倍も安い。だから米NVIDIA(エヌビディア)やコヒア、イーロン・マスク氏が率いる米xAI(エックスエーアイ)などが、AIトレーニングにオラクルのクラウドを選んでいると指摘する。既に1万6000台の「NVIDIA H100」のスーパークラスターが、RDMAネットワークを使って構成されており、これは世界最速のものだという。
既に何年にもわたり、オラクルではデータベースの自動化などさまざまな領域でAIを活用してきた。「とはいえ生成AIはこれまでのAIとは違い、革命的なものだ。画期的でわれわれのビジネスに変革をもたらす。これは、オラクルの状況を根本的に変えようとしている」とエリソン会長は力を込めた。
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