Special Feature
郁文館夢学園のデジタルキャンパス オーダーメイド教育で“夢”を後押し
2023/06/08 09:00
週刊BCN 2023年06月05日vol.1971掲載
(取材・文/安藤章司)
教職員の働き方改革からスタート
郁文館夢学園のデジタルキャンパス化構想の背中を押したのはコロナ禍による密集や密接を避けるために情報システムの一層の活用に迫られたことだった。学園のなかには出欠簿や試験用紙、申請承認の書類といった紙文書が大量にあり、これをデジタル化することで接触の度合いを下げる検討が行われた。ただ、コロナ禍に端を発する教職員の業務のデジタル化だけに終始せず、「生徒の学習環境のデジタル化にも取り込む」(郁文館夢学園の藤井崇史・執行役人材開発室室長社会科教諭)目標も掲げてデジタルキャンパス化に着手した。
教職員のデジタル化の効果は即効性のあるものだった。効果が大きかったのは生徒の出欠管理で、22年に紙の出欠簿をタブレット(iPad)に置き換えたことで記入にかかる時間がゼロになり、教務管理システムへ手作業で転記する手間もなくなった。
例えば、毎朝「きょうは体調が悪いので休みます」などを電話で受け付けるのを原則取り止めて、欠席申請をオンラインへ移行させて効率化した。ほかにも授業ごとの出欠管理をシステム化し、テストの答案用紙をOCRを使って即座にデジタル化。進路管理システムの導入によって生徒面談や進路相談の事前準備にかかる時間を短縮した。法人管理本部人材開発室の榊原賞氏は、「教員の勤務時間について、年間約6万時間の効率化を実現できるようになった」と試算している。
教職員の業務デジタル化を優先したのは、コロナ禍への対応の側面があったものの、その先には「教員が生徒と向き合う時間をより多く生み出す」(藤井執行役)狙いもあった。デジタルキャンパス化構想の所轄部門を情報システム部門とするのではなく、(教職員の)人材開発室としたのもこのためだ。もちろん、ITツールを駆使してコロナ禍への対応ができたという実績が、結果として教職員からの支持や、デジタル化の機運を高めるのに大いに役立っているという。
郁文館夢学園
1889年に設立。中高一貫校で、中学校と高等学校、1年間の海外留学のカリキュラムがあるグローバル高等学校、通信制のID学園高等学校を運営している。理事長は外食事業を手がけるワタミ会長兼社長で元参議院議員の渡邉美樹氏。
- IT活用で“夢教育”の実践を重視
- 中高デジタル変革のモデルケースに
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