Special Feature

IT業界で活発化するブランディング 変革掲げる企業が取り組みを加速

2023/04/13 09:00

週刊BCN 2023年04月10日vol.1964掲載

 企業ブランディングへの投資を拡大するITベンダーが増えている。直接的な製品やソリューションのPRではなく、企業自体の知名度向上にこれまでよりも力を注ぐのはなぜなのか。近年、印象的なテレビCMを放映したSCSK、TISインテックグループ、キヤノンマーケティングジャパンの3社に取材した。
(取材・文/大向琴音)
 

SCSK
刺激的なコピーで知名度を上げる

 「無いぞ、知名度。SCSK」――。この刺激的なキャッチコピーで、昨年4月からテレビCMを放映したSCSK。その背景には、受託開発から自社のソリューションで社会課題を解決するという、ビジネスの転換があった。
 
SCSKの大友秀晃部長(右)、清水一政副部長

 同社では、「2030年共創ITカンパニー」の実現を見据えている。そのためには、これまでのようなIT部門への提案だけでなく、経営層やIT業界以外のパートナーも巻き込んでプロジェクトを進められるようにならなければならない。企業認知度の向上は共創の土台として、なくてはならない要素だ。しかし、B2BのIT企業はB2Cの企業と比べると露出機会が少なく、認知度は低くなる傾向がある。そこで、SCSKという企業を認知していない層へのアプローチとして、テレビCMの放送という方法を選んだ。同社広報部の大友秀晃・部長は、「企業自体が信頼を高められれば、販管費はかかるが、トータルで見ると営業コストは下がると考えている」と話す。

 制作にあたって意識したのは、「SCSKがIT企業だと知ってもらうこと」。なるべく情報量は絞り込み、シンプルかつキャッチーなCMを目指した。CMが得意とするのは、企業認知の中でも社名の認知、つまり知名度向上の部分だ。同社がどのような企業であるかを知ってもらう前に、まず名前を知ってもらい、興味を持ってもらうという根本的な部分を目標とした。広報部の清水一政・副部長は、「IT業界の人たちや、当社を知っている人たちからは『今さらどうしてCMを流すのか』という意見もあったが、今後のビジネス共創を見据えて、あくまでわれわれのことを知らないビジネスパーソンたちへのリーチを狙った」と述べた。

 女優の今田美桜さんが出演したのは、この目標やキャッチコピーに対して嫌みがなく、成長し続ける勢いがあったからだという。 ゴールデンウィーク前後、お盆前後、年末年始と、テレビの視聴者が多い時期を狙って放映。同社の調査により、認知度向上の結果が確認されている。そのほか、社内エンゲージメントにも上昇傾向がみられるという。

 今は認知度の向上が第一優先となっているが、新たなビジネス創出の実績が出てきたら、事業認知度が上がるようなCMにも取り組みたいとした。CMの放映によるブランド力の向上が社員のやる気を生み、社員のやる気がアウトプットの品質向上と組織やビジネスの変革につながり、実績に裏付けられてブランド力が上がる。ブランディング活動によってこのようなスパイラルを生み出すのが理想だという。
この記事の続き >>
  • TISインテックグループ CM継続により「いつも身近」なイメージを醸成
  • キヤノンマーケティングジャパン ハードだけではない業容の認知を

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