Special Feature

ITベンダーのカスハラ対応 変化する顧客との向き合い方

2023/03/30 09:00

週刊BCN 2023年03月27日vol.1962掲載

 顧客や取引先からの著しく理不尽な要求や迷惑行為を指す「カスタマーハラスメント」(カスハラ)に明確な対応方針を示すITベンダーが現れている。カスタマーサクセスが重要視される中、度が過ぎた顧客の言動にどう対処するかは大きな課題になりつつある。社会全体でもカスハラを問題視する動きは広がっており、取り組みへの関心は高い。IT業界で先駆けてカスハラへの対応方針を示したfreeeとヌーラボの事例から、今後の顧客との向き合い方を探る。
(取材・文/藤岡 堯、岩田晃久)
 

カスハラは事業主が対策を 厚労省が指針、マニュアル公表

 まずはカスハラ対策をめぐる近年の社会環境を振り返ってみよう。2019年6月の労働施策総合推進法などの改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために必要な措置を講じることが事業主に義務付けられた。この改正を踏まえ、厚生労働省は20年1月、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」を公表。この中で「顧客等からの著しい迷惑行為」に対しても、事業主は適切な対応を図るべき、との考え方が示されている。

 企業や業界によって、顧客との接し方に違いがあり、明確にカスハラを定義することは難しい。厚労省が22年2月に発表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」においては、顧客などから寄せられるクレーム・言動が「要求の内容が妥当性を欠き」かつ「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なもの」、そして、それによって「労働者の就業環境が害されるもの」をカスハラと位置付けている。具体的な例としては、暴行や傷害、脅迫、侮辱、暴言といった身体的・精神的な攻撃、威圧的な言動、土下座の要求などが挙げられる。

 カスハラは従業員に過度な精神的ストレスを感じさせるとともに、業務に支障を生んだり、従業員の退職につながったりなど大きな損失をもたらしかねず、企業や組織において従業員を守ることは事業主が積極的に行うべき事柄となっている。ITベンダーについては、サブスクリプションビジネスへの移行によって、導入後のカスタマーサクセスに重きが置かれるとともに、顧客との付き合いが長期的なスパンとなりつつある。その中でカスハラにどう対応していくかを考えることは、ITベンダーにとって大きな課題になっているといえよう。
この記事の続き >>
  • 真に聞くべき声に耳を傾けるために freee
  • カスタマー担当が働きやすい環境を実現 ヌーラボ

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