Special Feature
外資ベンダーの事例から探る コロナ後におけるオフィスのあり方
2022/12/12 09:00
週刊BCN 2022年12月12日vol.1949掲載
(取材・文/藤岡 堯、岩田晃久)
コミュニケーションを実現する場に
ワークデイ日本法人
クラウド型財務・人事アプリケーションを提供する米Workday(ワークデイ)の日本法人は7月、東京・六本木に新オフィスを構えた。コロナ禍前後の社内部門ごとのオフィス利用実績に基づき、ハイブリッドなワークスタイルで必要な座席数を設定。フリーアドレス制を採用することでワークスペースの座席数を最適化し、コミュニケーションやコラボレーションにつながるオープンスペースを増やした。滞在性を高めるキッチンやダイニングスペース、カフェテリアなども設置し、一つのオフィスの中で気分転換をしながら働ける環境を整えている。正井拓己・エグゼクティブプレジデント日本法人社長は「コロナ後のオフィスは働く環境ではなく、従業員同士のコミュニケーション、コラボレーションを実現する場になるべきだ」とオフィスデザインの狙いを説明する。
その発想は、正井社長が社員一人一人と実施したラウンドテーブルで得られた声に基づく。社員からはリモートワークの難しさとして「雑談がなく疲れる」「新しい社員が入っても出会う機会がなく、心のつながりが持てない」などの課題感が多く寄せられたという。執行役員の荒井一広・マーケティング本部長は「働くことは自宅や別の場所でもできる。(オフィスは)社員同士が共同して、高い生産性を発揮できる場としたかった」と話す。
リモートワークと生産性の関係について、正井社長は「社員がその時点で有しているスキルや経験に基づく生産性はリモート環境でも維持できるだろう。ただ、他者との関わりがシャットダウンされると、得られる知識や経験を増やしていくことが難しくなる。一人一人の経験やスキルを伸ばす観点からは、リモート環境には限界がある」との見方を示す。
オフィスを訪れ、同僚や上司との対話を通じて、新たな気づきや知識を得ることができれば、社員の成長につながる。社歴が浅い人であれば、企業文化に触れる機会にもなるだろう。成長できたという達成感や帰属意識の高まりによって、離職を抑える効果も期待できる。
ただし「素晴らしいオフィスだからといって、出社のモチベーションにつながるわけではない」(正井社長)。オフィスでのコミュニケーション、コラボレーションが、自己の成長につながる、という意識づけを社員一人一人に行い、出社することの価値を感じてもらうことが大切になる。同社では従業員が楽しめるイベントや戦略を全社員で共有する場などを設け、社員の出社を促すことで、出社の価値を経験できる機会を増やしている。
さまざまな取り組みは徐々に実を結んでいる。正井社長は「リモートの環境しかなかったころと比べれば、社員間のコラボレーションは加速されている。会社に対する帰属意識も高まってきたと感じる」と手応えを語る。
今後のオフィスのあり方に関し、正井社長は「働く環境ではなくなる」と強調した上で「社員の皆さんが、いかにコラボレーションしてお互いを高めあうことができるかが重要であり、その機会を創出できる環境を会社が提供できるかが大事になる」とした。
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