Special Feature
注目 新興AIベンダー(ノーコードAIプラットフォーム 編) 機械学習をビジネス現場で活用 “使い勝手”が選ばれる理由に
2022/05/02 09:00
週刊BCN 2022年05月02日vol.1921掲載
業務アプリケーション開発の世界では、近年「ノーコード開発」がキーワードとなっている。プログラミング知識のない現場の従業員でもシステムを作れることを目指すものだが、AIの世界でも同じように、専門的な技術がなくても機械学習の力を活用できるようにする取り組みが進んでいる。そこでは、テクノロジーの優劣自体よりも、いかに使いやすいツールを提供できるかが、選ばれる決め手になる可能性がある。
(取材・文/日高 彰)
AI活用で壁となる 独自のモデル構築
デジタルトランスフォーメーション(DX)の機運の高まりを受けて、ここ数年業務アプリケーションの世界で大きな盛り上がりを見せているのが「ノーコード開発」だ。ノーコード開発ツールを使えば、プログラミングのスキルがない従業員でもソフトウェアを開発することができるため、IT部門や外部のベンダーに頼ることなく、事業部門に所属する人がシステムを作れるようになる。ビジネスの現場で求められているアプリケーションを、業務に最も精通しているユーザー自身が開発することで、課題を迅速に解決できる。このような、現場主導でのデジタル化を加速する切り札としてノーコード開発への注目が急速に高まっている。そして、DX推進に欠かせないもう一つのテクノロジーとなっているのが、機械学習をベースとしたAIである。AIを活用すれば、企業のシステムに眠っていたデータを活用してさまざまなビジネス指標の分析・予測を行ったり、特定の従業員の経験や勘に頼っていた判断を機械化したりできる。労働人口が減少する中で、デジタル技術によって企業の競争力を高めるために、何らかの形でAIを導入したいと考える企業は多い。
企業がすぐに導入できるAI技術としては、本特集シリーズで紹介してきたような、主にSaaS形態で提供されているAIアプリケーションが存在する。カメラが捉えた映像から人物を特定するための画像認識技術や、電話の音声を受けて顧客対応を自動化するボットなどは代表的なものだ。ユーザー企業の目的に合致したサービスが既に存在すれば、それを利用するのが最も手早い。
しかし、例えば自社が取り扱う商品の画像が大量にあり、それを商品種別ごとに自動的に分類したい。さらに、分類結果を過去の売り上げデータと照らし合わせて、どのデザインの商品がどんな客層に売れると考えられるかを予測したい、といった要求が出てきたときに、既存のサービスでは対応できないことがある。既存のAIエンジンは、サービス事業者が想定した用途向けに最適化されており、用途外のデータを扱えるわけではない。当然のことながら、例えば小売業向けの販売予測サービスを製造業の需要予測に適用するのは難しい。
そこで、企業ごとに構築する固有のAIモデルが求められるわけだが、モデルの作成や、AIに学習させるデータを用意するためには、専門的な技術を持つ開発者やデータサイエンティストの力が必要となる。そのようなスキルを持つ人材が社内にいない多くの企業では、AIの内製を行うのが難しく、業務へのAI導入までに多くの時間とコストを要する。AIモデルは、ビジネス環境の変化に応じて定期的に再学習して精度を保つ必要があり、中長期的な運用の面でも、外注では高い導入効果を発揮できないという問題がある。
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