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Oracle CloudWorld 2024 Report[下] AI、セキュリティーでも独自路線

2024/10/17 09:00

週刊BCN 2024年10月14日vol.2033掲載

【米ラスベガス発】米ラスベガスで9月9~12日(現地時間)に開催された米Oracle(オラクル)の年次カンファレンス「Oracle CloudWorld 2024」。10日の基調講演でオラクルのラリー・エリソン会長兼CTOが、分散・マルチクラウド以外に時間を大きく割いた話題は、「AI」と「セキュリティー」だった。新たに発表された多くの取り組みを見ると、クラウドと同様に、競合にはない優位性を生かし、独自の路線を進む姿が浮かんでくる。
(取材・文/藤岡 堯)
 

ゼタスケールのインフラ

 生成AIブームの過熱により、この領域での投資競争は激しさを増す一方だ。少しでも早く市場に投入し、優位に立つためには、生成AIに超高速で学習させ、実用性を高める必要がある。ただ、そのためには万単位のGPUによる巨大なクラスターが必要になるとも言われ、ユーザーが生成AIのワークロードを実行するためにも相当のインフラが求められる。
 この流れの中で、オラクルは大規模AI開発インフラの担い手としての存在感を高めている。例えば、米OpenAI(オープンエーアイ)はAIインフラのキャパシティー拡張のために「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を活用しており、米Microsoft(マイクロソフト)は検索サービス「Bing」の対話型検索にOCIを取り入れ、需要増加に対処している。

 そのインフラ基盤となるのは、GPUを搭載したベアメタルインスタンスを中核に、RoCEネットワーク、HPCストレージなどで構成するAIインフラサービス「OCI Supercluster」だ。CloudWorldの会期中には、OCI Super
clusterの拡張が発表された。最大13万1072基の「NVIDIA Blackwell GPU」を搭載可能で、2.4ゼタFLOPSのピーク性能を実現。オラクルは「業界初となるゼタスケールのクラウド・コンピューティング・クラスタ」(ゼタは10の21乗を表す)と表現し、HPCの世界ランキング「TOP500」で現在首位の「Frontier」の3倍以上、ほかのハイパースケーラーの6倍以上のGPU数が提供できるという。
 
レオ・リャン GVP

 米国時間の9月11日に実施されたセッションで、OCIなどのプロダクトマーケティングを担当するレオ・リャン・グループバイスプレジデント(GVP)は「現時点で市場には1000を超える大規模言語モデルがあり、今後も増え続けるだろう。私たちの目標は、そうした顧客やパートナーに必要なインフラを提供することだ」と述べ、AI開発を支える重要な役割を果たす姿勢を強調した。
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  • アプリ開発の新たな方法論「GenDev」
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