主要SIer上位50社の業績を俯瞰 今年度も底堅く推移する見込み
主要SIer上位50社の業績を俯瞰すると、おおむね好調に推移していることがわかる。NTTデータの課題だった海外ビジネスの営業利益は、M&Aにかかるのれん代の償却前で、前年度比33.7%増の170億円(17年3月期)に増える見込み。ただし、のれん代を差し引くと、依然としてほぼトントンの見通し。
また、いつもトップクラスの業績を叩き出す野村総合研究所(NRI)は、この上期(16年4-9月期)、珍しく減収減益になった。売上高も主力の金融系ビジネスが、前年同期に獲得した大型案件の反動減で減収となっていることに加え、グループ会社でBPO事業などを手がける、だいこう証券ビジネスの損失約30億円が発生したため減益になった。だいこう証券ビジネスは、マイナンバー(社会保障・税番号)の業務アウトソーシングの大型受注を見込んでいたが、実際に受注できた案件が予想していたよりも大幅に少なく、固定費負担がかさんだのが損失の主な原因だという。
新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は、主力の「absonne(アブソンヌ)」を中心とするクラウド関連事業が好調に推移。同事業の今年度の売上高は、前年度より10億円ほど増えて130億円を超える見込みだ。NSSOLの謝敷宗敬社長は「オンプレミス(客先設置)型のシステムをabsonneなどに移行する案件がピークを迎えている」と、クラウド移行ビジネスが活況だと話す。
メガバンク絡みの大型開発案件が収束に向かったり、携帯通信キャリアの投資が一巡し、今は端境期であること、縮小するオンプレミス型システムがビジネスの主力であるケースなど、一部、懸念される領域はあるものの、一方でSoEやデジタル三種の神器をはじめとする潜在力のある商材も充実してきていることから、全体感としては底堅く推移していくものとみられる。
