双日システムズ
最新OSに“着地”で対応
双日システムズは、Windows Server 2003上で動くアプリケーションを、そのまま最新OSにもっていこうという戦略をとる。そのため、対象とするのは主にパッケージシステムで、ファイルサーバーやインフラ系のサーバーはターゲットにしていない。
「ユーザー企業からは、7月のサポート終了に間に合わないという声が出ている。正直、引きは強い」と木佐谷康・エンタープライズソリューション本部ThinApp事業部部長は自信をもっている。同社が提供するアプリケーション移行ツール「AppZero」は、アプリケーションを仮想化し、Windows Serverとの依存関係を切り離すというもの。つまり、現在使用しているアプリケーションが、最新OS上で利用できることになる。移行先には、アプリケーションをインストールするのではなく、AppZeroが用意した環境上にコピーする。そのため、最新OSにインストールできないアプリケーションでも利用できるようになる。短期間でリプレースできるのも特徴だ。
しかも、移行先の環境で、AppZeroから切り離すこともできる。これを双日システムズでは“着地”と呼んでいる。「例えば、マイクロソフトの『SQL Server 2005』はWindows Server 2012にインストールできないが、AppZeroを使ってWindows Server 2012上に着地させることができる。これによって、SQL Server 2005がWindows Server 2012上で動くことになる」と川本政文・エンタープライズソリューション本部ThinApp事業部技術リーダーは説明する。
AppZeroはEOS対応に有効だが、双日システムズはそれがメインとは考えていない。「クラウドが普及したことによって、あるクラウドから別のクラウドへ移行するという案件も増えてきている。AppZeroは、そういった案件にも有効活用していきたい」と木佐谷部長は、クラウドへのリプレースツールとしての展開を考えている。

木佐谷康部長(右)と川本政文技術リーダートレンドマイクロ
セキュリティ対策の誤解を解く
セキュリティ対策ソリューションを提供するトレンドマイクロには、Windows Server 2003のユーザー企業から多くの問い合わせが寄せられている。Windows Server 2003を使い続けることの最大の問題は、セキュリティにあるからだ。ユーザー企業は、同社のサーバーのセキュリティ対策製品「Trend Micro Deep Security」に期待しているのだ。
しかし、トレンドマイクロは、基本スタンスとしてリプレースを推奨している。「Deep Securityでは、100%ではないが、多くのリスクを低減できる。とはいえ、あくまでも一時的な対処であって、Windows Server 2003を使い続けることができるという意味ではない」と、大田原忠雄・ビジネスマーケティング本部エマージングプロダクト部部長は訴える。
少なくともマイクロソフトは、Windows Server 2003に対してセキュリティパッチなどを提供することはしない。トレンドマイクロも、基本的にはマイクロソフトがサポートするOSでみつかったぜい弱性を優先し、それがWindows Server 2003でも有効な場合に適用するというのが基本スタンスだ。
トレンドマイクロは、Windows Server 2003のEOSをセキュリティ対策の誤解を解くチャンスだと考えている。というのも、多くのユーザー企業が、サーバーのセキュリティ対策はウイルス対策ソフトで対応できると考えているからだ。
「当社でアンケートを実施したところ、Windows Server 2003を使い続けるとしたユーザー企業の約半数が『ウイルス対策ソフトを導入する』としている(図3)。ウイルス対策とぜい弱性は別物。ウイルス対策は、ぜい弱性に対する手段の一つに過ぎない」と福井順一・ビジネスマーケティング本部エマージングプロダクト部サーバ&ネットワーク課担当課長シニアプロダクトマーケティングマネージャー。たとえ閉じたネットワーク上で稼働するサーバーであっても、安全ではない。クライアント経由で不正アクセスなどの攻撃を受ける可能性があるからだ。
ぜい弱性を利用した攻撃は、ウイルス対策だけでは止められない。Deep Securityは、ネットワークのレイヤで仮想パッチを適用することで、不正な通信を止めるという対応をしている。パッチが当たっている状態を仮想的につくるため、他のアプリに影響を与えないというメリットがある。Windows Server 2003の延命対策として、Deep Securityが採用される場合でも、パートナーとともにサーバーのセキュリティ対策としての有効性をアピールして、リプレース後の環境でも継続利用となることを狙っている。

大田原忠雄部長(右)と福井順一担当課長
[次のページ]