大人になったら、と決めていたのがバイオリン。柔らかい音色がとても好きで、弓を運ぶしぐさにもあこがれていた。
バイオリンは難しい楽器である。習った通りに弓を運んでも音が出ない。幼少期にならったピアノでは鍵盤を押せば音が出た。どこを押せば何の音が出るのかが、ピアノならすぐに把握できる。バイオリンは違う。感覚がすべて。音を出すには練習しかない。
「バイオリンの音がするようになったと感じるまで、始めてから3年かかった。こんなにとっつきにくい楽器はないと思うほど。でも、知れば知るほど奥が深い。思い通りに弾けたときは、本当にうれしい」。今ではオーケストラに所属し、半年に1回の演奏会に出るほどの腕前になっている。
バイオリンと変わらないほど、長くつき合っているのがストレージ。エンジニア時代にストレージの設計にかかわり、ネットワールドではストレージのマーケティングを担当している。
「深くかかわるようになってから、ストレージのことが大好きに。でも、友人にはこの気持ちがなかなかわかってもらえない。“データをためるもの?”“ためてどうするの?”という感じ。ストレージは奥が深くておもしろい。この魅力をみんなにわかってもらいたい」。ストレージ分野は新しい技術が次々と登場し、新興ベンダーも途切れることなくどんどんと生まれている。当初は1社だった担当企業が、気がついたら5社に増えていた。それぞれの強みや戦略の違いを知ると、ストレージが一段と好きになっていた。
辰野友香は現在、大阪支店でマーケティングを担当している。ネットワールドとしては初のポジションで、一人しかいない。役割が明確な本社と違い、曖昧な立ち位置で何でもこなす。感覚の世界で戦っている。(敬称略)
プロフィール
辰野友香
(たつの ゆか)
大阪府出身。2006年関西大学総合情報学部を卒業後、ハードウェアベンダーでシステムエンジニアとして勤務。09年にネットワールドに入社し、NetApp製品のマーケティングを担当。現在は、ストレージチームのリーダーとして、NetAppを含むストレージ製品全体の販売促進業務に従事している。