「中国市場の開拓者にならないか」。さらなる成長を目指して物流会社に転職後、つき合いのあったロジザードの金澤茂則社長から誘いを受けた。新たに上海事務所を立ち上げ、現地に赴任して営業や顧客サポートを展開するという仕事だ。日・中・英の3か国語に堪能な能力を生かして、貿易・物流業でキャリアを積んできた劉だが、これまで中国で働いたことも、ITサービスの販売経験もなかった。しかし、「自分にどこまでできるのかは、やってみなければわからない。たとえ失敗したとしても、それは次の成功への糧となる。ならば、やるべきだ」。前職は大企業だったが、劉は安定と好待遇をあっさりと捨てた。
その後、約3年間、劉はたった一人で上海事務所の運営に尽力した。立ち上げたばかりの拠点で、すべての業務をこなすのは簡単ではない。満足に休みが取れない日々が続いた。だが、「家族や社内からの温かい応援、自分のもつ可能性をかって声をかけてくれた社長への恩を思うと、力がみなぎってきた」。
努力は着実に実を結び、上海事務所は今年、現地法人に発展。本格的にクラウド型物流管理サービスの販売を開始した。劉にとっての次なる挑戦は、社員を育成し、利益を生む上海法人へと大きく成長させることだ。同時に、新たな仲間に働く楽しさを伝えていく。(文中敬称略)
プロフィール
劉 菲
劉 菲(Faye Liu)
「一日24時間のうち、少なくとも8時間は仕事。つまり、仕事が楽しくないなら、人生のおよそ3分の1を無駄に過ごすことになる。だから私は、楽しく働きたい」。劉菲にとって、働く楽しさとは、困難なことに挑戦し、多くの人々に出会って、自分の可能性を広げることだ。安定した職に就くことや、高給取りになることに関心はない。だから、大学を卒業後は、幅広い仕事が学べると考え、あえてベンチャー企業を選択した。