不摂生な生活というイメージがつきもののIT業界だが、実際にはさわやかなスポーツマンも少なくない。OKIで情報システムの企画・提案に携わる萩尾朝昭もその一人で、今も高校時代以来の長距離走を続けている。
長距離走の魅力を聞くと、萩尾は「タイムを縮めるためには、練習方法や食事などでさまざまな試行錯誤をしなければならないし、距離によっても走り方は変わってくる」と答える。「こうしたらもっと早く走れるのではないか」といった仮定を立て、それを実際に試す。すると、タイムが変わる。これをPDCAサイクルのように繰り返し、走りを改善していく過程におもしろさがあるという。
営業の仕事でも、顧客に響くアプローチの仕方は、顧客ごと、案件ごとに変わってくる。長距離走と同じで、必勝法があるわけではない。難しいプロセスではあるが、「お客様がそれまでどうやって仕事をされてきたのか、今自分に対して何を求めているのか」を解き明かしていくのが、ソリューション提案という仕事の醍醐味でもあるという。
メーカーへの就職を志望したのは、社会で使われるものをつくり出す仕事に魅力を感じたからだ。ただ、メーカーの営業は「われわれがつくるすばらしい商品を世に届けたい」という姿勢が前に出てしまいがちだが、萩尾は、「まず、市場とお客様をよく知ったうえで、ものづくりに携わりたい」と話し、顧客“始点”の徹底を自らに科す。「会計システムを提案するにも、経理の仕事がわからなければ求められるものはつくれない」と考え、日商簿記1級まで取得した。
萩尾が担当する旅行業界は、2020年の東京五輪に向けて忙しさが増す。ありがたいことだが、長距離走のタイムは「ちょっと走らないとすぐ戻ってしまう」。トレーニングの時間を捻出できるかが悩みになりそうだ。(文中敬称略)
プロフィール
萩尾 朝昭
萩尾 朝昭(はぎお ともあき)
1984年生まれ、熊本県出身。2007年に沖電気工業入社、省庁向けの情報システム販売の営業に携わる。12年に企業向けの販売を行う法人営業本部に移動し、現在は旅行業向けの新規ソリューション提案を担当。13年度、大手旅行会社向けのプロジェクトで「OKIグループ表彰 優秀賞」を受賞。