中田知佐は、組み込みシステム向けOSを手がけるウインドリバーで、代理店販売ビジネスを大きく成長させた立て役者だ。2011年には、ウインドリバーのグローバルトップ営業として表彰された実績をもっている。
中田が代理店営業の仕事に就いた当初は、代理店同士の交流が皆無だった。代理店各社は、競合関係にあるからだ。しかし中田は、各社が情報やノウハウを共有すれば、さらにビジネスを拡大させることができると考えた。そこで各代理店の経営者を招き、交流会を頻繁に開催。ウインドリバーと各代理店が一丸となって、ビジネスを盛り上げていく風土をつくり上げた。現在では、米本社が代理店ビジネスに成功した日本法人の戦略を見習っているという。
「自分の可能性を広げるためなら、何にでも挑戦する」という中田。中学校を卒業した後に単身で渡米し、現地で青春時代を過ごした。「英語をまったく話すことができなかったけれど、海外に飛び出して一人で生き抜いてきたので、自分には何だってできる」という思いを胸に刻んできた。そうはいいつつも、「代理店営業の仕事は自分一人では決してできない」と謙虚なところもみせる。
信念は、「“おもてなしの心”を忘れないこと」。趣味で茶道をたしなみ、いつも相手が気持ちよく過ごせるように、話し方や振る舞いに気を配っている。会社の方針を部下に伝える際にも、ただ単に説明して、相手に押しつけるようなことは決してしない。「自ら進んでやりたいと思ってもらえるように、相手の立場で考えて接することに努めている」。こうした“おもてなし”を貫く姿勢が、部下や顧客を惹きつけるのだ。(文中敬称略)
プロフィール
中田 知佐
中田 知佐(なかた ちさ)
1974年生まれ。97年、コロラド州立大学デンバー校の心理学修士課程を修了。98年1月、インテルに入社し、代理店営業に従事した。02年、インテルからスピンアウトしたIT資産管理ソリューションを手がけるLANDeskSoftwareに転籍。その後、09年11月にウインドリバーに転職し、現在に至る。