ミドルウェアの「Hadoop」や、ノンSQLデータベース「COUCHBASE」など、先進的なソフトを積極的に使い、Agile開発といった新たな開発手法も取り入れる。そんなソフト開発ベンチャーが、アットウェアだ。従業員は30人ほど、創業して10年にも満たないが、新しいテクノロジーを生かす力がユーザー企業に認められ、全売上高の95%をユーザー企業との直接取引で獲得している。1000万人以上の会員がいるメルマガ配信サービス「まぐまぐ!」のシステムを開発するなど、顧客の重要インフラの開発を担う。ITベンダーの下請け仕事は、ほとんどやらない。
重田篤史は、33歳の時にアットウェアを立ち上げた。それまでは、超大手コンピュータメーカーのSI子会社に10年弱在籍。大規模システムの開発に携わり、80人以上のチームを束ねる存在になったが、そのキャリアをあっさりと捨てた。「新しいことに挑みにくい企業文化が根づいていた会社だった。将来はないと思った」。
アットウェアの経営では、自由を大切にする。オフィスには、自社・他社問わず、開発者が自由に勉強・意見交換できる40~50人は入るスペースを用意し、じっくり考えたい開発者のために、誰にも話しかけられないように配慮した「集中部屋」を設置。ホワイトボードをあちこちに配置し、いつでもソフトの設計図を書くことができるようにもしている。
重田は、技術に明るく、プロジェクトマネジメントも得意。人脈も豊富だ。挑戦したい自分とはかけ離れた保守的な会社に、我慢して在籍していた過去がある。「あの時の自分を誇ることはできない」と言うが、そこで得た経験を、アットウェアで生かしている。派手な見た目からは想像できないスキルと信念をもつ人物だ。(文中敬称略)
プロフィール
重田 篤史
重田 篤史(しげた あつし)
1972年、神奈川県生まれ。大学卒業後、ソフト開発会社と大手コンピュータメーカー系SIerを経て、アットウェアの立ち上げに参画。現在に至る。新規ビジネスの開発を主に担当する。趣味はサッカーで、弟は元Jリーガー。アットウェアは、プロサッカークラブ「横浜FC」のスポンサーになっている。