「20歳の時に日本に1年半留学し、日本文化を学んだ」という張大勲。韓国のセキュリティメーカー、アンラボの日本法人副社長として、国内ビジネスを統括している。張は1998年、韓国で名の知れたセキュリティ技術者だった学生時代の先輩と、セキュリティソフトウェアを開発する会社を創業。代理店開拓などを担い、会社は順調に成長した。
02年からは、韓国政府のITインフラにおけるセキュリティ強化のプロジェクトに、コンサルタントとして参加。そこでプロジェクトを統括する韓国アンラボ本社の前社長である呉錫宙と出会い、専門知識を生かしたコンサルティング営業を展開すると聞かされた。パッケージだけでの成長には限界があると認識していたアンラボは、コンサルティングから顧客先に入り、必要なら製品販売、運用につなげていくサービス型のビジネスにシフトしようとしていた。呉に誘われた張は、アンラボに入社。コンサルティング営業として新しい一歩を踏み出した。
日本での留学経験を買われ、08年、日本法人の副社長に就任する。来日して早速、「既存ビジネスの分析に取りかかり、成長戦略の立案に力を注いだ」。
日本でもアンチウイルス製品のビジネスが中心だったというアンラボ。サービスビジネスを取り入れるため、韓国で展開しているセキュリティ監視サービスを09年から日本で開始した。インターネット先進国、韓国で実地で培った経験により、日本の監視サービス会社が解決できないセキュリティインシデントにも対応する「駆け込み寺」の役割を果たしている。張は「日本法人が“日本の企業”として、品質の高いサービスを提供することで、総合セキュリティプロバイダに成長させたい」と意気込んでいる。(文中敬称略)
プロフィール
(DAE HOON CHANG)韓国ソウル市生まれ。ソウルの慶熙(キョンヒ)大学校卒業。2001年、学生時代、知人の紹介でセキュリティ製品メーカーの Secuve に入社。03年、同じくセキュリティ関連を手がける SGA を先輩と共に創業、取締役に就任。
06年、アンラボに入社。08年から日本法人の副社長に就任し、現在に至る。