1年前、新卒で入社し11年間勤務した日本オラクルを離れた。新天地として選んだのはマイクロソフト。担当するのは、前職に引き続きデータベース(DB)だ。
北川剛は、大学で暗号とDBを専攻。DBの奥深さに魅せられて、就職先は最大手の日本オラクルを選んだ。以来、DB一筋の道を歩んできている。テクニカルマーケティングに強く、「Oracle Database」を拡販するために、製品検証や技術セミナーの開催などによりユーザー企業と販売パートナーを支援してきた。そして1年前、マイクロソフトに移籍──。
今携わる仕事の一つに、セミナーの運営がある。タイトルは「Oracle DatabaseスペシャリストによるOracle DatabaseユーザーのためのSQL Server セミナー」。オラクル製品に精通した第三者をゲストスピーカーとして招き、オラクルとマイクロソフト製DB「SQL Server」との違いを説明する。そのうえで、マイクロソフト製品の優位性をPRする内容だ。スケジュールは朝から晩までで、参加費用は1人3万1500円と高額。それでも、毎回定員を上回る人気ぶりをみせる。ユーザーが客観的な視点で両製品の比較を望んでいる証だろう。
北川がマイクロソフトに入社する以前から展開されているセミナーだが、両社製品を熟知する北川が参加したことで、内容に厚みが増したのは確かだろう。聴講した記者はそう感じた。
「両社製品の違いをまずはしっかりと伝える。もちろんマイクロソフトを選んで欲しいが、客観的事実を伝えることが先決」。このセミナーにはそんな思いを込めている。
北川には大切にしているポリシーがある。「パートナーが安心して販売できる環境づくり」だ。上司は「マイクロソフトが持つさまざまな製品に携わってキャリアを積んでほしい」と期待するが、「このポリシーが実現するまではDBにしがみつく」。口調を強めてこう断言した。(文中敬称略)
プロフィール
北川 剛
(きたがわ つよし)1974年8月、佐賀県鳥栖市生まれ。防衛大学校で情報工学を学ぶ。97年3月に卒業後、同年4月に日本オラクル入社。データベースソフト「Oracle Database」のマーケティングに11年間従事する。日本語環境での新製品検証とセミナーなどを担当。08年6月、マイクロソフトに移籍。「Microsoft SQL Server」のマーケティング業務に携わる。