「SEにだけはならないほうがいい」。大学生の頃、知人からこう言われた。
学生時代は化学を専攻。パソコンといえば、情報の授業で「コピペやオフィスの使い方、今思えばC言語? を習ったきりだった」。SEが大変な職種とは聞いていたが「システム開発は会社の仕組み、もっと大枠で見ると世の中の仕組みを作ること。大変な分だけやりがいがあるんじゃないかと思った」ことがIT業界に入ったきっかけだった。
2000年、日立システムアンドサービスに入社。配属されたのは技術寄りの部署だった。そこでXML関連の技術を用いたソリューション開発や、インフォテリアのEAI製品「ASTERIA」の拡販・構築を担ってきた。日立システム自体もXMLに非常に力を入れていた時代だ。「当時は製品の長所を知っていても、その価値をなかなか顧客に分かってもらえないことも多かった」と振り返る。このままでは導入実績が伸びない。そこで、顧客業務での活用法を考え、実際に顧客の面前でそれに沿ったデモを行い、目に見える形で紹介していった。作ったシステムをエンドユーザーが使い「仕事が楽になった」と喜んでくれた時にはうれしさが込み上げてきた。
05年に自動車や建設などのシステム開発を手がける、東京産業本部第2システム部に転属。引き続き「ASTERIA」の拡販・構築に携わりながら、培ったXMLの技術を開発に生かしている。プロジェクトでまとめ役になる機会も増えている。今年も途中から製造業向けのスクラッチ開発でリーダーを任された。責任者になると常に決めごとに追われる。後輩に迷惑をかけていないかと悩むこともある。「人と人との関係」は常に大切にしている。「一人でできることは少ない。でも人に助けてもらってできることはたくさんある」からだ。今も大変なのは変わりないが「将来的にもこのまま仕事を続けられたらいい」と微笑んだ。
プロフィール
浦島 由美
(うらしま ゆみ) 2000年日立システムアンドサービス入社。同年、オープンソリューション事業部 プロフェッショナルサービス部配属。XML関連技術を使用したソリューションを開発、アライアンス製品「ASTERIA」の拡販・構築。04年オープンソリューション事業部第一システム部で、同じく「ASTERIA」の拡販・構築と、製造業・その他の顧客向け業務アプリケーション開発に従事。05年東京産業本部第2システム部転属。趣味は月に1度は必ず行う、パン作り。