“V12n(Virtualizationの略)”を掲げ、サーバー仮想化ベースの製品・サービス提供を事業の柱に据えるS&I。“仮想化エキスパート”で知られる同社のなかで、伊藤英啓は最も仮想化に精通した人物だ。
ITの世界に足を踏み入れたのは「単なる偶然」。本当は、「水産大学に入って養殖に携わりたかった」そうだ。「コンピュータには興味がなかった」のが本音。ところが、入社してからは「ITが業界として“市民権”を得ていなかった時代だったため、そういった点では面白い」と実感した。大学ではITの技術については全く学んでいない。「基本的に分からないのは悔しい」。半面、「テクノロジーを理解できるのが嬉しかった」ため、多くの技術を習得した。「努力しているんだろうけど、そんな素振りを見せない。楽しそうに仕事している」(同僚)というのが社内の評判だ。この評価に対して、「仕事とプライベートをきちんと切り分け、早くオフを楽しみたいからかな」と笑う。
元々NIerだった同社がインフラ分野でオポチュニティ(案件)をつかむには、サーバーのノウハウが必須だった。入社以来、サーバー構築に携わっていた伊藤が05年に「サーバーソリューション事業部」を立ち上げたことで好転。いち早く仮想化に着手できた。「必ず何かがくると判断した」という。
次に目指すのは、仮想化などを中心に「インフラの“ムーブメント”を起こし、ポジションを確立する」こと。伊藤が“原動力”になるのは間違いない。(文中敬称略)
プロフィール
伊藤 英啓
(いとう ひであき)■1969年、神奈川県生まれ。■92年、玉川大学工学部経営工学科を卒業。同年、エス・アンド・アイ(S&I)に入社。■入社以来、サーバー・エンジニアとして「Netware」「WindowsNT」といったネットワークOSを中心に法人向けに設計、導入、構築を担当。■97年から官公庁を担当する部署に異動、「LotusNotes」などの開発、システム構築に従事する。■00年、法人向けサーバー・エンジニア担当に戻る。04年に営業推進など営業関連部署にも携わることになり、05年にサーバーソリューション事業部を立ち上げる。■現在は、サーバーに加えてネットワークを含めたインフラ全般を担当するコンバージド・プラットフォーム事業部に所属、サーバーの統合や仮想化を中心とした製品・サービスの開発に取り組む。