カスタマイズを極限まで減らしたOBCの主力製品「奉行新ERP(統合基幹業務システム)」を試作段階から知る開発者。「試作当初は、MS/DOS版からウィンドウズ版へ舵を切る時期で、毎日終電まで開発に明け暮れた」と、苦労を懐かしむように目を細める。「ユーザーに愛されながら、ソフトウェア販売を伸ばしたい」という想いがあるから、プログラミングに没頭できる。
大学を卒業してすぐにOBCの開発部門に所属した。以来、“開発畑”を歩み続けて10年以上になる。その間、「設計、実装、デバック(バグ探し)、マニュアル作成──など、ソフト開発に関する1から10までを経験した」というつわものだ。
ソフトのデータベースをエージーテックの「ビートリーブ」からマイクロソフト「ウィンドウズNT」に変更した時には、「NTのログイン認証とID・パスワードの統合モジュールを主導で開発した」。そのことが一番強い思い出として残っている。
「ソフト開発は、面倒で地味な作業が多い。だが、苦労した分、ユーザーに喜んでもらえることが、モチベーションにつながる」という。
今年5月に、課長に昇進した。管理職になっても「開発に接したいから、プレイングマネージャーを貫く」と、指先はコンピュータ言語を叩くため動き続ける。オフィス内の席次も社長や開発担当の取締役に近く、「会社の意向が生に伝わってくる」と、管理職の重責を感じ始めた頃である。「ユーザーのニーズを素直に反映した製品を作り続けたい」
プロフィール
原本 剛
(はらもと たけし)1968年5月、愛媛県西予市(旧西宇和郡三瓶町)出身、37歳。92年、東京理科大学理工学部卒業。同年4月、オービックビジネスコンサルタント(OBC)に入社、開発部(現・開発本部)でソフト開発に携わる。05年5月、同部課長に就任。