これまで、医療機器や銀塩カメラなどのプロダクトデザインに関わってきた。そして昨年発売したデジタルカメラ「i:robe」と写真を見ながら音楽を聴ける携帯ミュージックプレイヤー「m:robe」という新ブランドのプロダクトデザインを担当。
新ブランドの企画では全社的なプロジェクトチームを結成。チーム全員で意見を正面からぶつけ合った。「写真を見ながら音楽を聴くという提案を伝えたい」と、デザイナーも販促活動に精力的に参加した。 「ユーザーにコンセプトを伝えることが1番」だからだ。
デザインする上で大事にしていることは、「人との関わり」。製品を使う人の要望を汲み取るにしてもコミュニケーションから始まる。さらに、「1つひとつの出来事が何かにつながり、それがデザインに生きてくる」。だから「日々の小さなこともおろそかにしない」。これまでは広告代理店に任せていたプロモーションも、新ブランドでは自ら関わった。その経験や出会いが大きな財産になった。
デザインには無関係のようだが、「出会いとコミュニケーションが常に勉強」になるという。そこから「自分の引き出しを増やして、経験を積み上げていく」。
「i:robe」、「m:robe」ともに、「いい意味で、あえて一歩引くような、例えると白磁器のイメージ」でシンプルさを表現した。つい見逃しがちな製品デザインの1つひとつに、デザイナーの“人”としての歴史が刻まれている。
プロフィール
谷尾 聡
(たにお さとる)1968年、東京都出身。93年4月、オリンパス入社。プロダクトデザイナーとして、医療機器、銀塩カメラ、デジタルカメラ、デジタルボイスレコーダーなどを担当。昨年発売した「ニュー・フォトライフ・ソリューション」を提案する新ブランド「i‥robe」、「m:robe」のデザインを担当。