米国で生まれ、日本で育ち、再度米国へ渡った。24歳の時だった。ハワイでアパレルのリテールビジネスに携わる。「95年だったと思う。そのとき、新たなビジネスモデルのアイデアが浮かんだ」。メーカーから卸、販売店へとつながる縦系列のサプライチェーンはどこにでもある。しかし、売れ筋商品の在庫が切れたとき、需要と供給のバランスは崩れてしまう。横系列のサプライチェーンは、時代が求めているシステムだった。
売り手、買い手、市場運営者の取引最適値を考慮した市場を可能にする「ダイナミック・コマース・エージェント(DCA)」の発想は、そんな素朴な必要性から生まれた。「e-ビジネスをやっているとは思っていない。ITは手段に過ぎない」。IT+新たなビジネスモデル=真に価値あるeコマースを創出する――というシンプルな図式がそこにある。こだわりは日本発ということ。市場はもちろん日本だけではない。
「日本のIT関連企業は、優秀な製品を生み出す力をもっている。だが、それで何ができるのか、それで本当に儲かるのか、そうした視点の欠如が世界進出を阻む大きな壁となっている」現在、27歳。いや、まだ27歳である。
プロフィール
(どうじょう まこと)1974年7月9日生まれ。同志社大学神学部中退後、渡米。アパレル流通業界に従事するうちDCA特許の基本を考案。特許を取得して実用化を図るために帰国。99年7月に独立。00年5月、エヌピーシーシステムドットコムを設立。