プロダクトが先かプロセスが先か
経営トップは売り上げやコストなどの数字をモニタリングし、経営を行う。ところが、CASEは、今までの業界構造をゆるがすサプライチェーンプロセスのイノベーションであり、いつものモニタリングが難しい。まず、今までのISOなどの自社内の活動を認証する制度と違って、CASEは自社を超えたプロセスイノベーションであり、何か認証基準のようなものがあるわけでもない点だ。さらに、顧客要求に対応した在庫・出荷・経理・知財等の管理をITで標準化し、現場にIoT/AIを導入してCASEに備えるとしても、部品メーカーの多くはコア技術が人やモノに属している点も課題となっている。
経営トップや営業責任者は、顧客の声や自社の動きを数字で把握する癖が身についているが、実際に技術でプロダクトを生み出す生産現場では、そのプロセスを数字で把握するトレーニングを受けている余裕がない。5Sなどの生産現場の安心・安全やQCなどの基準でPDCAを行い、業務の見える化に工夫を重ねることで時間に追われている。
技術を生み出すプロセスはどのようになっているか、また新たな連携先と関係するポイントはどこにあるのか、それに伴って現場へのコンセンサスをどうリードしていくか、現場に人材が少なければ、どうやって補うのか――などの記録は、現場以外に共有されず、蓄積されているかは現場長や工場長にゆだねられている。そのため、一気に投資をしてIT化やソフトウェア技術の活用をすることは、トップだけの判断で行うことができない。
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