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【不動産業界で見たIT化の成功と失敗・2】失敗するパターンと理由

2022/06/06 10:00

 不動産業界でIT化に踏み切る代表的な理由は、「アナログのままだと処理に工数が掛かる」「社内共有ができていない」など、今のままでは不便だと感じているからというのが大きい。ただ、社内の承認を得て、予算を確保し、プロジェクトチームを中心に進めて、システムを導入したものの、一年が経過してもIT化が全く進んでいなかったという状況も見られる。今回は、失敗事例について解説したい。失敗から得られる学びもある。

 不動産業は、社歴が長いベテラン社員も多く、今まで行われていたやり方や風習がある業界の一つだ。属人的な業務になっていることも多い。そのため、IT化には現場をまとめあげて引っ張っていくリーダーがいるか、導入前後の教育環境はできているか、現場の意見を取り入れているかなどが重要だ。
 

 一番多く見られるのが、長い準備期間と予算を使って導入したものの、現場は全く使いこなせず、導入前の状態に戻っているということだ。機能が多すぎて何をどうすればいいか分からず、教育も浸透しないまま使い始めた。なぜ導入したか、導入することのメリットは何かを社員は理解していなかったため、結局は昔の状態に戻ってしまうのだ。

 現場にとっては、工数が掛かっても元々のやり方が慣れているのでやりやすい。そのような状況だからこそ、何度も何度も教育する機会を設けて、新しいシステムを理解してもらわなければならない。分からない人のために、すぐにサポートできる体制を組み立てておくことも大切だ。失敗パターンの共通点を見ると、1時間程度の説明会のみ開催し、マニュアルを用意したものの社員が目を通していないというケース。いざ利用を始めたが、問い合わせが集中し、処理が回らずパンクしてしまう。特に導入直後は、サポートの体制を強く整えておくべきだ。

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