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【地方中小企業とDX・1】失敗を招く三つの理由

2022/06/02 10:00

 当社(コムデック)は三重県伊勢市でシステム開発やパソコン販売を行う社員数15人の中小企業。自社で社内の仕組みをアナログ(紙・リアル)からデジタル(データ・非対面)への改革など、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んだ結果、一時は離職率70%という事態を招いた。それでも諦めずデジタル化を進め、「いつでも、どこでも」働けるリモート対応が当たり前な会社に変容し、全国の中小企業に対してデジタル化の支援を行うことができるようになった。この連載では、当社がデジタル化によって変容した体験と、顧客へのデジタル化支援を行っている現場の知見から、地方の中小企業が「デジタル化に失敗しない」導入方法について解説する。

 まずは、「デジタル化に失敗しない」ために地方中小企業においてデジタル化が成功しづらい独特の理由が存在することを紹介する。

 一つめは、「アナログ・ネイティブな中高年比率が高すぎる」ということだ。地方中小企業には、学生時代に携帯電話もなく、社会人になって徹底したリアル志向の文化で育てられた対面や電話によるコミュニケーションが得意だがチャットやWeb会議を苦手とする「アナログ・ネイティブ」世代が社内の大多数を占めている会社が多い。

 その世代の多くは、自らの存在価値を下げかねない業務のデジタル化に対して強い警戒感を持っており、積極的にデジタル化を推進することが滅多にない。実は、筆者も自社の案件管理をデジタル化に移行する際、「見づらい、使いにくい」と最後まで反対していた。デジタル化された働き方が、リアル志向で育った世代にとっては結構きついのは事実なのだ。
 
ホワイトボードから“Kintone”に変わった案件管理

 二つめは「通勤が楽だから」。満員電車で長時間通勤することを「痛勤」と称する都市部と違い、地方都市では車通勤が基本であり、車中で音楽や動画を楽しみながら過ごす数十分の通勤時間を苦痛だという声を聞かない。

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