WHI Holdings(WHI-HD)グループは、主力の人事給与システム開発「COMPANY」シリーズの直近の商談件数のうち2割がビジネスパートナーとの協業によるものだと明らかにした。同社は出身母体のワークスアプリケーションズ時代から直販指向が強いベンダーだったが、ここ1年半余りは販売を担うSIerなどのベンダーとの関係強化を推進。パートナー協業の成果もあって2021年12月期は前年度比で増収増益、22年12月期までの3カ年中期経営計画について「主要な指標は1年前倒しで達成した」と、WHI-HDの安斎富太郎CEOは手応えを感じている。
(安藤章司)
COMPANYシリーズのビジネスパートナーは、販売を担うパートナーとアプリ連携をするパートナーの大きく二つに分けられる。前者は主にSIerなど販売力のある会社で直近では10社ほどに増えた。後者は主にソフト開発ベンダーで10社弱から構成されている。ほかには人事給与関連の業務アウトソーシングを担うパートナーとも数社協力関係にあるという。昨年度の好業績は、販売パートナーのSIerやアプリ連携先からの新規顧客の流入が追い風になった側面もある。
昨年度までWHI-HDグループの経営企画部が推進役となってパートナー協業を進めてきたが、間接販売チャネルが本格的に立ち上がってきたことを受けて、本年度(22年12月期)からは事業部に格上げし、ビジネスパートナーの支援や関係強化を一段と深められる体制強化を行っている。
販売パートナーの開拓に際しては、安斎CEOが中核事業会社のWorks Human Intelligence(ワークスHI)のトップに就いた20年7月から有力SIerやITベンダー、コンサルティング会社などトップの十数社に自ら相談を持ちかけたが、「大手ベンダーのほとんどはすでに他社の人事給与を取り扱っており、なかなか新規で当社製品を取り扱ってくれるベンダーは現れなかった」と振り返る。その後も粘り強く販売パートナーを説得した結果、21年度の商談件数のうち2割をパートナーとの協業案件で占めるまで販路開拓を進めることができた。
安斎富太郎 CEO
販売パートナーの具体的な社名はまだ開示していないものの、アプリ同士を連携するパートナーについては昨年11月に開示している。内訳は採用管理や個別面談、健康管理、組織改善、ITツールの操作支援などの人事関連や人材育成に関するSaaSアプリがメインで、COMPANYシリーズのユーザーの利便性を高めることを主眼に置いた。他社SaaSのユーザー企業がアプリ連携をきっかけにCOMPANYシリーズに興味を示すケースが増えることも期待できる。安斎CEOは「販売パートナーの社名についても、パートナーの了承を得た上で、近いうちに開示できるようにしたい」としている。
COMPANYシリーズの製品開発では、経営者と従業員双方の視点で役立つ機能の開発に努めている。例えば企業側から見た「給与」は従業員から見た「報酬」であり、他にも「タレントマネジメント」と「キャリア形成」や、「従業員エンゲージメント」と「やりがい、満足度」といった具合に「経営者と従業員の目標や課題をリンクさせることで、他社にはない利便性や効用を実現」することで競争力を高めていく方針だ。