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パナソニック ソリューションビジネス強化へ 社内外の体制整備 細かなニーズへの対応力を武器に20年度を乗り切る

2020/10/16 09:00

週刊BCN 2020年10月12日vol.1845掲載

 パナソニックの法人ビジネスの中核を担う社内カンパニーであるコネクティッドソリューションズ社(樋口泰行社長)は近年、デバイスのモノ売りからソリューション提案型のビジネスへの転換を図ってきた。PC、タブレット、決済端末を含めたモバイルソリューションズ事業においても、2020年度(21年3月期)は社内の関連部署と柔軟に連携できる体制づくりをさらに推進するとともに、ソフトメーカーやSIerなどとの連携も強化してサービス系商材の拡充に注力する方針だ。同社モバイルソリューションズ事業部東アジア営業統括部の三宅貴彰・統括部長が週刊BCNの取材に答えた。

三宅貴彰 統括部長

 19年度のPC市場は「Windows 7」のEOS特需により各メーカーが好調だったが、同社も国内市場での販売実績は史上最高を記録した。三宅統括部長は「新規のユーザーは当社製品の頑丈さや軽さ、国内製造ならではの安心感といった部分に価値を感じてくれている。これらのメリットをユーザーのニーズとしっかりマッチングさせる提案をしてきたことが過去最高の数字につながった」と語る。

 一方、今年度に入ってからは、新型コロナ禍の影響によるテレワーク需要や、政府によるGIGAスクール構想の推進により、当初の想定とは全く異なる市場の状況になった。結果的に、モバイルPCは予想していたほどの反動減は起こっていないという。ただし、「目下の需要の特性として、すぐにでも端末を揃えたいというユーザーが多く、安価な製品が求められがち。当社の(高価格帯製品を中心にラインアップしている)ポジションが必ずしも有利な状況とは言えず、ユーザーと市場の状況を見極めて対応しなければならない」と分析する。

 そこで同社は、これまで事業部が単独で顧客にアプローチをしていた体制を見直し、より部署間の連携を強める方針を打ち出した。18年の時点で各商材のSEを統合したソリューションSE部隊を新設しており、製品導入後のキッティングやコンフィギュレーション、企業システムとの連携などのサポートを提供している。また、ソリューションSE部隊が導入前から営業と連携して活動することでユーザーの要望を詳細に吸い上げ、仕様や要件に反映しているという。三宅統括部長は「レッツノートはカスタマイズ性の高さも大きな強み。こういった動きは他社にないもの」だと強調する。今後は開発や企画部隊もこの連携に組み入れ、全社でユーザーの課題解決を支援する体制を構築していく考え。

 また、ソフトウェアメーカーやSIerとの関係性を強化することでサービス商材の拡大にも取り組む。これまでも、リモートワイプや端末位置特定機能を持ったワンビのエンドポイントソリューション「TRUST DELETE」をデバイスに組み込んで提供しているほか、パートナーとの協業により、働き方改革支援のための商材として勤務状況把握・労務管理ツールの「しごとコンパス」をラインアップしている。三宅統括部長は「ユーザーが、他社はやってくれなくてもパナソニックならやってくれると期待してくれるような尖ったデマンドにもしっかり応えられるように、パートナーエコシステムを整えていく」との意向を示している。(銭 君毅)
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パナソニック=https://www.panasonic.com/jp/corporate/cns.html