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NEC、大林組、CTCなどが事業創出専業の新会社立ち上げ AIをコアに5年で6件の新規事業
2020/09/25 09:00
週刊BCN 2020年09月21日vol.1842掲載
バードイニシアティブの立ち上げに当たっては、NECや大林組、CTCの事業会社3社のほかに、日本産業パートナーズやジャパンインベストメントアドバイザー、東京大学協創プラットフォーム開発といった投資会社、学術系会社が出資者として参加。資本準備金を含めて6社で6億4000万円を出資している。新会社では素材など基礎領域の研究は行わず、基礎研究で生まれた技術の事業化を専門に手がける。
立ち上げ当初の中核となる技術は、分析に必要なデータが足りていない場合にシミュレーションを通じてデータを生成・補完する技術や、AI同士で合意可能な条件を相談・交渉することで別々の目的を持って動いているシステム間の利害を自動で調整する技術。後者は例えば、自動運転の車同士がどちらが優先して通るかの折り合いをつけるといった用途が想定される。いずれもNECと産総研などの研究で得られたものだが、今後は出資会社が持つ要素技術や、協業先の研究所の技術も積極的に取り入れていくとともに、新しい出資会社を募ることも視野に入れる。
社長にはNECでオープンイノベーションや北米でのスタートアップ企業の立ち上げなどを手がけてきた北瀬聖光氏が就任。北瀬氏は、北米のスタートアップ企業が生み出す最新のデジタル技術の活用を進めていた大林組の梶田直揮常務や、産総研のプロジェクトで接点のあったCTCの安永文洋・科学システム本部長と1年ほどかけて新事業を創出する新会社の構想を練り、投資会社や東大の起業支援を手がける東京大学協創プラットフォーム開発と連携して立ち上げに至った。
異業種や投資会社など多様なメンバーから構成され、事業を興す明確な目的を持ち、なおかつ「どこかの会社に属することのない中立性を重視した共創型R&D会社は国内初の取り組みで、世界でも類を見ない」(北瀬社長)と胸を張る。また、日本の大企業から新しい事業が育ちにくいのは、「既存の組織や価値観の枠組みに縛られて、潜在的な能力を十分に発揮できていないから」(同)と指摘。バードイニシアティブでは、大企業や投資会社のリソースをフル活用しつつも、既存の組織とは一定の距離を保ち、自由な発想で事業を創出していく。(安藤章司)
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