ローコード開発ツールベンダーのOutSystemsジャパン(アウトシステムズジャパン、アーノルド・コンセンコ社長)が国内での存在感を高めている。直近3年間で国内納入社数は4倍余りに増え、グローバル全体の1割を占める規模にまで拡大。国内のレガシーマイグレーションの需要をつかむことで、「向こう3年間は今の勢いを維持できる見通し」(コンセンコ社長)と手応えを感じている。これまで外国語によるオンライン技術コミュニティしかなかったが、年内をめどに日本語コミュニティも立ち上げる予定だ。
アーノルド・コンセンコ 社長
ソフトウェアの高速開発を実現するローコード開発ツール市場は、国内外の複数社がシェア争いを展開する激戦区。そのなかにあって、ポルトガルで創業し、本社を米国に置くOutSystemsは、ソフト開発から運用、改修のライフサイクル全体の高速化ができるプラットフォームである点を強みにしている。ローコード開発はソースコードの自動生成の部分に焦点が当たりがちだが、OutSystemsでは開発したのち、運用し改善点を次の改修に反映するまでの一連のライフサイクル全体の省力化を重視。不具合が出た場合は前のバージョンに戻すといった開発プラットフォーム機能を充実させている。「ライフサイクル全体の開発や運用の効率を、ツールを使わない場合に比べて6~10倍高められる」とコンセンコ社長は胸を張る。
当初は、ローコード開発を強みとするBlueMeme(ブルーミーム)が国内総代理店を担っていたが、OutSystemsの日本法人が設立された2017年以降は、SIerの伊藤忠テクノソリューションズ、電通国際情報サービス、ITディストリビューターのSB C&Sが一次代理店としてOutSystems活用ビジネスに順次参入。ソフトウェアのライフサイクル全体を高速化するOutSystemsの製品特性を評価するかたちで、二次代理店や開発パートナーも数十社規模で増えていると見られている。
国内ではデジタルトランスフォーメーション推進の一環で、レガシーシステムをスマートフォンのアプリケーションと連携させたり、コンテナ型仮想化を使ったマイクロサービスとして切り出すなどのレガシーマイグレーションの需要が高まっている。OutSystemsでは、業界に先駆けてスマホのネイティブアプリの開発を可能にするとともに、Windows環境におけるコンテナ型仮想化やコンテナ管理ソフトのKubernetes(クバネティス)にも対応させている。今後はLinux環境のコンテナ型アプリケーションの開発にも対応させていく予定だ。
同社では、ある一定期間を区切ったメジャーバージョンアップで新機能を追加するのではなく、新機能を随時追加するスピードを重視。レガシーマイグレーションや新規ソフト開発の技術動向に素早く対応し、ユーザー企業や販売、開発のビジネスパートナーの需要に応えることでシェアを伸ばしていく方針だ。(安藤章司)