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富士ゼロックス 米ゼロックスとの技術契約終了 社名も変更し「富士フイルム」ブランドに
2020/01/17 09:00
週刊BCN 2020年01月13日vol.1808掲載
18年1月に富士ゼロックスの親会社である富士フイルムホールディングス(HD)が、米ゼロックスを買収して富士ゼロックスと経営統合すると発表したことに端を発する一連の動きは、19年に大きく動いた。5月に米ゼロックスが合意を一方的に破棄し、富士フイルムHD側は同社に対して損害賠償請求訴訟を起こした。紆余曲折の末、昨年11月、富士フイルムHDは米ゼロックスの買収・統合を断念し、米ゼロックスとの合弁だった富士ゼロックスを完全子会社にする形で決着した。この際、21年3月末に契約満了を迎える富士ゼロックスと米ゼロックス間の技術契約がどうなるのかにも注目が集まったが、明確な方針は示されていなかった。
両社は、それぞれが開発した技術を相互に利用できる関係を続けてきたが、技術契約解消によりその関係が終了する。ただし富士ゼロックスは、「自社の技術開発・商品開発のスピードやレベルの向上により、現在では独自の技術に基づいて自社商品や米ゼロックス向け商品を開発・製造し、供給している」と、現状の同社ビジネスに大きな変更が生じるわけではないことを強調している。
さらに技術契約には、富士ゼロックスがアジア太平洋地域で「富士ゼロックス」ブランドによる販売を、米ゼロックスがその他の地域で「ゼロックス」ブランドによる販売を担当するという内容も含まれていたが、これも解消されるため、両社とも販売テリトリーの制約がなくなる。富士ゼロックスは新たな自社ブランドでワールドワイドにビジネスを展開していくことも明らかにした。「富士フイルムブランドのもとでグループ内の連携を強化することで、シナジー創出を加速させ、革新的な価値の提供を目指す。クラウド、AI、IoT技術を活用したソリューション・サービスの市場導入を加速するなど、ドキュメント領域およびドキュメント周辺領域での事業強化、新たな領域での事業拡大を迅速に展開していく」としている。
ただし、結果的に富士ゼロックスの新ブランドはゼロックスブランドの競合としてのポジショニングを余儀なくされることになる。特にこれまで米ゼロックスの担当地域だった市場でどの程度の成長が実現できるかは未知数だ。(本多和幸)
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