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AWS re:Invent 2019 コンテナ+サーバーレスの選択肢を拡張 開発者目線のイノベーションを継続
2019/12/26 09:00
週刊BCN 2019年12月23日vol.1806掲載
AWSがre:Invent 2019で発表したコンテナ関連の新サービスは「Amazon EKS on AWS Fargate」だ。AWSには、コンテナオーケストレーションのマネージドサービスとして、「Amazon Elastic Container Service(ECS)」と「Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)の二種類がある。前者はAWSが開発したサービス、後者はデファクトスタンダードになりつつあるKubernetesベースのサービスだ。
ECSには2種類のモードがあり、同社仮想サーバーの「EC2」で動かすか、コンテナ向けの専用サーバーレスコンピューティングエンジンである「AWS Fargate」で稼働させるかを選択することができる。EC2起動タイプはコンテナアプリケーションを実行するインフラを詳細にコントロールできるが、その分、手間がかかることは負荷にもなる。一方でFargate起動タイプはインフラをユーザー自身で管理したりプロビジョニングせずにコンテナアプリケーションを実行できるというハードルの低さがメリットだ。
今回発表されたAmazon EKS on AWS Fargateは、従来EC2起動タイプしかなかったEKSにもFargate起動タイプをラインアップしたもの。ジャシーCEOは、「デベロッパーがコンテナアプリケーション開発に集中できるよう、サーバーやクラスター管理のことを考えないでいいようにしようというのがFargateの発想。これはAWSしかいまだに実現できていないし、素晴らしいスピードでユーザーに受け入れられている。EKSでもFargateを使えるようになったことはより多くの選択肢を提供できるという点で、他のクラウドサービスプロバイダーにない価値だと思っている」とコメントしている。
Interview
「運用と開発をよりシンプルに」がコンテナ普及のカギ
米AWSの幹部は、マーケットにおけるコンテナ活用の状況をどう見ているのか。サーバーレス、コンテナ、開発ツールなどのプロダクトマーケティングを担当するアーロン・カオ シニアディレクターに現地でインタビューした。――今回も多数の新サービスが発表されましたが、個人的なイチオシを教えていただけますか。
カオ やはり私の立場では「Amazon EKS on AWS Fargate(EKS on Fargate)」ですね。コンテナ環境の使いやすさや利便性を考えると、EKSでもFargate起動タイプを選べるようになることは非常にメリットが大きいと思っています。
――ECSでは先行してFargate起動タイプが出ていますが、EC2起動タイプよりも人気があるのでしょうか。
カオ 勢いはやはりFargateに軍配が上がります。ユーザーにとっては差別化を生まない手のかかる仕事が自動化されるわけで、クラスター管理がしやすくなったという部分の価値が非常に高く評価されていると理解しています。
――ECSとEKSでは、どちらがより伸びているのでしょうか。
カオ 具体的な数字は明かせませんが、どちらも広く使っていただいています。ECSはエクスペディアやマクドナルド、EKSはIntuitやベライゾンなどがユーザーですね。どちらにもいいところはあるのですが、すでにAWSをお使いのEC2に慣れているお客様はより親和性の高いECSを選びがちで、クラウドへのシステム移行を進める際に新たにAWSを使われるお客様は、Kubernetesを使いたくてEKSを選ぶ傾向があるとは言えます。いずれにしても、多様なニーズに対して選択肢をどう提供するかが重要です。
――競合のクラウドサービスプロバイダーでは、Kubernetesを核にマルチクラウド環境でのアプリケーションの実行を管理する方向に進む動きが目立ちます。AWSはこうしたマルチクラウド戦略についてどう見ているのでしょうか。
カオ 私が知り限りでは、当初はマルチクラウド化したいと考えているお客様も、最終的にそれでは課題を解決できず、一つのクラウドに集約する必要があるという結論になるケースが多いと思います。マルチクラウド化すると、システム開発や運用のリソースも分散してしまいます。
――コンテナの本番環境での活用はまだまだ本格化しているとは言えないと思うのですが、AWSが考える普及方策は?
カオ コンテナサービスはすでに基幹業務でも使ってもらっているという事実があります。その上でAWSとしての戦略を申し上げると、やはりコンテナアプリケーションの開発と運用をよりシンプルにすることに尽きると思います。EKS on Fargateはまさにそうしたコンセプトのサービスですし、ECSやEKSの環境をよりシンプルにセットアップするための開発者向けツールも用意しています。この視点が自然と他のクラウドサービスプロバイダーとの違いにつながっていくのだと思います。
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