その他
米ルッカー、アイレットとパートナー契約、“デジタルネイティブ向けBI”のブランディングを加速
2019/12/16 09:00
週刊BCN 2019年12月09日vol.1804掲載
同社は2012年創業。18年9月に日本法人を立ち上げたが、今年7月に本格的な営業を開始した。米ウーバーや米リフトといったデジタルネイティブ企業の支持をベースに成長し、グローバルでは約1800社、国内で約40社の顧客を獲得している。ルッカーの小澤正治・ジャパンカントリーマネージャーは、「データを活用することで事業の優位性を高めようと考える企業にLookerを普及させていきたいが、日本国内で自社単独でのブランディングはそれほどできていない。クラウドネイティブ、デジタルネイティブな企業をサポートしているアイレットとのパートナーシップは市場にルッカーのメッセージを正しく伝えることになる」と、この協業に期待を寄せている。また、アイレットはLookerを顧客のデータ活用支援の切り札と位置付け、データ分析基盤のメインソリューションとして広く提案していく方針だ。
Looker自体にはデータを保持する機能がなく、顧客のデータベース(DB)に接続して、リアルタイムにデータを可視化したり、ウェブ上で共有・連携できるのが特徴だ。約50種類のDBに対応しており、ほとんどの顧客の環境をカバーできるという。また、独自のモデリング言語である「LookML」により、多様なデータソース間の差異を吸収して一元的な分析の指標をつくり、「データの一貫性を担保できる」(アイレット)としている。
アイレットは、同社がインフラ構築やシステム開発、運用保守を担当したガンホー・オンライン・エンターテイメントのモバイルe-sportsサービス「エムスポ」のデータ分析ツールとしてLookerが採用されたことも明らかにしている。アイレットの平野弘紀・執行役員は、「ある程度データ分析の土台をつくってしまえば、実際に分析をする人が自分で条件を付け加えて画面をつくったりできる柔軟性があり、非常にニーズが大きいと考えている。当社はインフラ構築だけでなくシステム開発も手掛けてきたが、分析機能をつくってほしいという要望は年々増えていて、そうしたお客様に何を提案するかは課題になっていた。Lookerを触ってみて、メインで提案できるツールだと感じた」と話す。
今年6月には、グーグルがルッカーを買収すると発表。Lookerはクラウド上での利用が前提で、ホスト先はAWS、Azure、Google Cloud Platform(GCP)を選択できる。グーグルはルッカーのマルチクラウド戦略を支持する方針を示しており、ルッカーの小澤カントリーマネージャーも「ルッカーの方針として、特定のクラウドプラットフォームに特化してサービスを展開するつもりはない」とコメントしている。LookerがGCPネイティブなサービスになる可能性は低いとみられる。
また、アイレットは今年7月にGoogle Cloudのプレミアサービスパートナー認定を取得したが、もともとはAWSの有力パートナーとして知られている。同社はLookerをAWSユーザーにも広く提案していく。(本多和幸)
- 1
関連記事
マルチクラウド対応BIで日本市場に本格進出 グーグルによる買収後も戦略は変わらず――Looker
AWSトップパートナーが本格的にマルチクラウド化――アイレット
KDDI、アイレットが米ラックスペースと協業 エンタープライズIT市場の主役の座を狙う
IoTインテグレーターを新たな武器に 独立系SIerにキャリア系列化の波――KDDI