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FPTジャパンホールディングス、上流工程から一貫受注、新規DXの比率を上げる
2019/11/25 09:00
週刊BCN 2019年11月18日vol.1801掲載
一貫受注で狙いを定めるのは、近年、需要が増えている業務プロセスやビジネスをデジタルで変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の領域だ。ユーザー企業の業務を分析し、最新のデジタル技術で業務プロセスを組み直すには、業務コンサルをはじめとする上流工程のノウハウが欠かせない。日本法人ではこの部分を重点的に強化することで、従来のベトナムオフショアソフト開発を上回る付加価値を発揮して収益力の向上につなげていく。
FPT日本法人は、上流工程からの一貫受注の体制を強化することを目的に、2018年9月、持ち株会社体制に移行。日本法人の傘下に役割別の事業会社を配置した。具体的には、中核事業会社のFPTソフトウェアジャパンに加え、SIerのアクロホールディングスとの合弁で上流工程を担うFPTアドバンスジャパン、エル・ティー・エスとの合弁で業務コンサルを担うFPTコンサルティングジャパンを立ち上げ、「業務コンサルから設計、開発、運用まで一貫して担える体制の整備」(グエン社長)を進めてきた。
折しも国内情報サービス市場の受注環境は良好で、SEの稼働率も高水準で推移しており、人手不足に拍車がかける。さらには、中国の人件費高騰で中国オフショアソフト開発が伸び悩むなか、既存SIの領域は中国オフショアを引き続き活用しつつも、「DX関連の新規分野ではベトナムを選択するケースが増えている」(グエン社長)と見る。日本やベトナムが参加するTPP(環太平洋パートナーシップ協定)経済圏の活性化が期待されるなどの外部環境も追い風となる。
また、ベトナムには若いIT技術者が多く、デジタル技術の先端を追求するモチベーションも高い。日本向けのビジネスを一段と伸ばすために今年に入ってFPTグループが運営する日本語学校を都内に開設。これまではベトナム国内での語学教育や日本の語学学校を活用していたが、「需要に追いつかない」ことから自前での学校開設に踏み切った。これまで延べ1500人を育成してきたが、将来的に1万人規模の日本語を習得したITエンジニアを育てる。
FPTグループの日本向けの昨年度(18年12月期)の売上規模は約220億円。既存SI領域と新規DX領域の比率はざっくり8対2だが、一連の取り組みによって25年までに売り上げを1000億円規模に拡大し、既存SIとDX領域を半々に持っていくことを目指す。(安藤章司)
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