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パランティアテクノロジーズ、ピーター・ティール氏が注力する米データ解析大手、SOMPOと合弁で日本法人設立
2019/11/19 12:00
週刊BCN 2019年11月25日vol.1802掲載
パランティアは2004年に米国で創業。ネット決済サービスのペイパルを立ち上げた起業家で、米トランプ政権に強い影響力をもつ投資家としても知られるピーター・ティール氏が共同創業者に名を連ねている。不正取引やマネーロンダリング、反社会的組織の活動などを発見するためのデータ分析プラットフォームを開発し、公共安全の分野で政府系の顧客を獲得。その後金融をはじめとする民間セクターにも事業領域を広げている。
現在は公共向けの「Palantir Gotham」、民間向けの「Palantir Foundry」の2製品を提供。基本となる分析エンジンは共通だが、前者は個人情報を含む公共データの取り扱いを想定し、データ保護機能を強化しているのに対し、後者は企業の内外に散在するデータを組み合わせて分析するため、構造の異なる多数のデータベースを統合する機能を充実させている。
SOMPOホールディングスの櫻田社長は「お客様に損害が発生した際、契約を元に保険金を支払うことで損害を最小化するのが損保会社のサービスだったが、お客様は本来、損害が起きてほしくないと考えている。データを活用して、損害自体が起きないようにできれば、従来の損保以上に大きな価値を提供できる」と述べ、これまで死蔵していたデータを活用することで、同社のテーマである「安心・安全・健康」をより高いレベルで提供することが可能になると説明。新会社は同社グループ内のみならず、国内の幅広い企業や医療機関、公共機関にテクノロジーを提供していく方針で、50%を出資するも、あえて社名からはSOMPOの名前を外した。
来日したティール氏は、欧米諸国よりも高齢化が先行している日本にパランティアの製品を導入することで、テクノロジーによる高齢化問題の解決を目指すとともに、その知見をグローバルに展開したいとコメント。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関しては「日本はDXなしでうまく回っている国」であり、少々の改善をもたらす製品を持ち込んでも成功できないが、同社の製品には、膨大なデータを持つ複雑な組織の事業を変革する力があると主張した。(日高彰)
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