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業務プロセス改革に新基軸 デジタル技術を複合的に応用したBPOを実践――アグレックス
2019/09/02 08:00
週刊BCN 2019年08月26日vol.1789掲載
キーパンチや帳票の印刷・発送といったユーザー企業の業務をそのまま請け負うだけでは、他のアウトソーシング会社と価格競争になりやすい。アグレックスでは、人件費で優位にあるベトナムやタイのアウトソーシング拠点機能を拡充させるなどして価格面でも競争力を発揮してきたが、「より大きな価値を生み出していくには、AIやIoT、業務自動化ソフトのRPAといった最新の技術を複合的に応用した、ユーザー企業の業務プロセスそのものの改革が欠かせない」(八尾社長)と判断。業務プロセスの改革に役立つ最新技術の習得やサービスメニューの整備を急ピッチで進めている。
IoT関連では、業務用洗濯機のメーカーと組んで次世代コインランドリーの業務プロセスの研究に着手。この8月までに東京と大阪にそれぞれアグレックスが直営する実験的なIoT対応型コインランドリーを開設。スマートフォンから洗濯機の空き状況を確認、予約ができたり、洗い終わったら通知が行くといったサービスを想定している。既存業務とIoT技術を組み合わせた場合、業務プロセスをどのように変革すれば最も効率がいいのか研究を積み重ねることで、アグレックスが事業の柱と位置付けるビジネスプロセス・インテグレーションの発展に役立てていく。
また、金融や製造の業種向け業務プロセス改革のコンサルティングを強みとするアジリス・イノベーションと今年6月に業務提携し、従来では実現困難だった高度な判断業務の自動化を可能とするビジネス変革サービスも立ち上げている。ほかにもAIを活用した高度なOCRツールや、近年、急速に普及しているRPAによる業務自動化、住所の表記揺れがあっても地図上に正確な位置を示すアグレックス独自のソフト製品など、「新しい技術を切り口とした業務プロセスの見直し提案」に力を入れている。
TISインテックグループ全体のBPO事業セグメントの今年度(2020年3月期)売上高は、グループ傘下で創薬支援を手掛けていた子会社を売却した影響もあって前年度比12.2%減の318億円の見込み。一方、営業利益はアグレックスのビジネスプロセス・インテグレーションを柱とした収益力の増強が期待できることから8.5%増の20億円に増える見通しだ。(安藤章司)
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