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デジタルスタジオの整備に注力 国内は5月に刷新、豪州では人員倍増――米アバナード
2019/06/23 09:00
週刊BCN 2019年06月17日vol.1780掲載
デジタルスタジオでは、ユーザー経営者や事業部門の担当者と協力して、テクノロジーを活用した新規事業の研究や企画などを行う。米アバナードではデジタルビジネスをリードするという意味の「デザインレッドシンキング」と呼ばれる手法を確立しており、デジタルスタジオでは、この手法に沿って「ユーザーを新しいデジタルビジネスに導いていく」(米アバナードのアナ・デ・シルベリオ成長市場担当社長)取り組みに力を入れている。
シルベリオ成長市場担当社長は、イタリア市場の責任者を担っていた2010年頃に、ミラノにデザインスタジオを開設。欧州市場で率先して「デザインレッドシンキング」手法を使ったデジタルビジネスの創出支援を手掛けてきた。今は、アジア太平洋地域を中心とした成長市場担当として、日本やオーストラリア、中国、マレーシア、シンガポール、ブラジルなどのデジタルビジネスを積極的に推進している。
直近の事例では、マイクロソフトの音声認識エンジンを使い、経営者がコンピューターと会話しながら経営データを分かりやすく表示する経営ダッシュボードをオーストラリアのユーザーと協力して開発した。従来のキーボードを叩いてグラフを呼び出すのではなく、「言葉で必要なデータを分かりやすく表示させる新しいユーザーインターフェースによる“体験”を重視してデザインした」(シルベリオ成長市場担当社長)。
DXの「X」はトランスフォーメーションだが、同時に「“体験”を意味するエクスペリエンスの“X”でもある」(同)として、ユーザー企業がこれまでになかった顧客体験を提供できるようにDXを後押ししていく。国内ではITインフラ層の刷新需要が高まっているが、その次のフェーズとして、「斬新な顧客体験を重視するデジタルイノベーションのニーズがより高まってくる」と見る。「デザインレッドシンキング」の考え方は、そうしたニーズを汲み取って、システムに落とし込んでいくのに役立つとしている。
デジタルスタジオは、NTTデータをはじめ国内の大手SIerもこぞって開設している。職場という“日常”から離れ、ベンダー側と顧客側の混成チームで課題解決にあたることで、イノベーションを誘発する仕組みと言えそうだ。(安藤章司)
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