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スタートアップワールドカップ2019 ベトナムのスタートアップが優勝 リサイクル技術の日本企業がトップ12社に
2019/06/10 07:30
週刊BCN 2019年06月03日vol.1778掲載
スタートアップワールドカップの主催者で、米シリコンバレーに拠点を構えるペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマン代表パートナー兼CEOは「彼らは、イノベーションには限界がないことと、どの国でも世界トップレベルで競争できることを証明してくれた」と語り、物流コストの削減やサプライチェーン全体を可視化するAbivinの取り組みを評価した。東京工業大学を卒業した同氏は、日本を含めた世界のスタートアップ企業の発掘や投資など各種支援に取り組んでいる。
決勝戦に顔をそろえたスタートアップは、肺炎を診断するAIデジタル聴診器を開発した米Sonavi Labs、海に漏れたオイルを吸収する製品を開発したブラジルのBiosolveitなど、テクノロジーを活用して社会課題の解決に取り組む企業が目立った。日本からは、衣料品に含まれているポリエステル繊維を溶かし、精製して、原料であるポリエステル樹脂を製造するリサイクル技術を開発した日本環境設計が世界のトップ12社に残った。
決勝戦では、投資家や起業家らの講演もあった。動画サービスのNetflix元CPOのニール・ハント氏は「たくさんのアイデアをテストし、どれがいいアイデアなのか探し出すこと」と、消費者の行動を見ながら、サービスを考えることを説く。
エンタープライズIT市場からは、米ヴイエムウェアでM&A管理や投資戦略の責任者を務めるシェカール・アヤール・エグゼクティブ・バイスプレジデントが登壇。スタートアップへの投資基準の重要な要素として「イノベーションの精神がどれほどあるかを見る」と明かした。一方で、複数の企業に自社を売り込むスタートアップの経営者に対しては「競争させて高く売りたいのがみえみえで、誰も買わない」と、行動を改めるよう助言する。また、インテルのチーフ・ソフトウェア・セキュリティ・オフィサーを務めるウインドウ・スナイダー氏は、影響力のあるアドバイザーやメンターを見つけることがスタートアップの成功の大きな推進力になると説いた。(田中克己=IT産業ジャーナリスト)
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