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プロジェクトツールの雄、日本に上陸 パートナー経由の間接販売体制を整備――米Wrike
2019/06/09 09:00
週刊BCN 2019年06月03日vol.1778掲載
2006年に設立した米Wrikeは現在に至るまでに200万人を超えるユーザーを獲得している。昨年日本語対応を図ったことから、日本市場ではすでに700社以上がユーザーとなっており、年間売上高は前年同期比で150%の伸びを記録。日本市場を重視する同社の意気込みをうかがい知ることができる。
米Wrike創業者のアンドリュー・ファレイヴCEOは「われわれは働き方改革を進める日本企業の良きパートナーになれるとともに、グローバル企業として成長するために日本市場は必要な拠点だと認識している」と強調。日本法人は当初10人でスタートし、今後3年間で50人まで社員を増やす方針を示した。
プロジェクト管理ツールのwrikeの最も基本的な機能は、「タスク」と呼ばれる業務の最小単位を設定すること。このタスクとは普段メールなどでやり取りする細かな業務内容で、メールの件名のようにタスク名を設定し、宛先のように担当者を割り振ることができる。大きな事業計画を進める場合、「プロジェクト」という枠を作り、その中でタスクを積み上げていくことで設定できる。それぞれのタスクで担当者の割り振りやコメントなどをリアルタイムに反映し、ガントチャートやカンバンなどの形式で進捗を確認することが可能になる。
このサービスを導入したカシオ計算機の情報開発部の倉上彰氏は「アジャイル方式が注目されているが、プロジェクト運営の観点からはウォーターフォール型で長い目で管理することは必要。その中でタスクをぐるぐる回していくことで業務を高速化できる。アジャイルとウォーターフォールの両方の開発手法に対応していることが、wrike選択の理由」と語っている。
もともと米Wrikeは、グローバルで直販を中心にユーザーの拡大を進めてきたが、日本法人の設立でパートナー企業による再販を開始する。すでに電通国際情報サービス(ISID)と契約しているほか、5月23日にNECネッツエスアイとの代理店契約を発表した。日本法人の泉谷浩成 Head of Japan Enterprise Growthは、「より早く顧客にアプローチするには強力なバックボーンや顧客基盤が必要になる。パートナーと協力してより多くの顧客に届けていきたい」と指摘。パートナー企業が持つソリューションと組み合わせることで付加価値を高めていく考えだ。
ISIDでは自社サービスと組み合わせた提案のほかに、wrikeと絡めた上流コンサルティングサービスを展開する。こうした活動を支援するため日本法人では、パートナー向けの日本語トレーニングプログラムを構築中で、近く完了させる予定。今後、パートナー企業については増やしていく方針で「さまざまな企業とフィットするかどうか話し合っていく」(泉谷氏)と語った。(銭 君毅)
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