その他
“遅れて来た”8番目のブランド ローコードのデータ統合基盤――Dell Boomi
2019/05/13 08:00
週刊BCN 2019年04月29日vol.1774掲載
Boomiはグローバル市場で8200社以上のユーザーを抱えるiPaaS(Integration Platform as a Service)領域の有力ベンダーであり、2010年に当時の米デルに買収された。16年にデルとEMCが統合し、デルテクノロジーズが誕生した際もグループを構成する主要ベンダーの一つだったが、日本市場でのビジネスがスタートしたのは17年11月。今年度(20年1月期)になって、ようやくグループ内8番目のブランドとして本格的なマーケティングを開始した。
米国ではBoomiとしての独立した企業法人が存在するが、日本市場ではデル日本法人の一部署としてBoomi事業を展開している。Dell Boomiジャパンの鈴木千尋・カントリーマネージャーは、「米Boomi側の判断もあり、日本のエンタープライズITにおけるクラウドの普及状況などを見ながら市場投入のタイミングを計っていた。その上で、サポートを含めて、マーケットのニーズに応えられるだけの準備が完了したのが、一昨年11月だった」と日本市場参入までに時間をかけた理由を説明する。
Boomi製品はアプリケーション間のデータ連携機能などの統合開発環境をクラウド上で提供する。ただし、「開発」といってもウェブブラウザー上でGUIを使って設定する作業がほとんどで、ローコードで容易かつ短時間で開発を完了できるのが特徴だ。開発が終了すると、データ連携を実行するランタイムが、Javaのアプリケーション「Boomi Atom」として生成される。Atomはクラウド、オンプレミスを問わず配置できるため、稼働環境を問わず、多種多様なアプリケーションを連携させることが可能だという。
代表的なユースケースはSAP ERPとセールスフォース・ドットコムのCRM/SFAとの連携で、最近ではSAP ERPユーザーが最新製品の「SAP S/4HANA」に移行する際に、旧システムと新システムの並行運用にあたってマスターデータやトランザクションデータを連携させるといった用途も一般的になりつつある。鈴木カントリーマネージャーは「SIerに依頼してSAPのERPでインターフェースを1本作るとなると1000万円以上かかるのが相場だが、ユーザーはこの金額感を受け入れづらくなっている。Boomiはインプリのコストもライセンスのコストもそれに比べてずっと安く、スモールスタートして徐々に活用範囲を広げていくこともできる」と、支持を集める要因を説明する。
グローバル大手のコンサルファームが有力パートナーとして日本でもBoomiのビジネスを手掛けているほか、日本で最初にAdvancedパートナー契約を結んだ電算システムなど、国内のSIerも取り込む形でパートナーエコシステムを構築している。ただし、「まずはBoomiの価値をしっかり市場に浸透させたい」(鈴木カントリーマネージャー)として、インプリパートナーの充実には注力するものの、再販パートナーについては数を増やすよりも質を重視する戦略を取る方針だ。(本多和幸)
- 1
関連記事
DX実現のカギはデータ統合 グループブランドにBoomiを追加――Dell EMC