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GCPとオンプレミスをつなぐコンテナ環境「Anthos」 他社クラウドとも連携――米グーグル

2019/04/20 10:00

週刊BCN 2019年04月15日vol.1772掲載

【サンフランシスコ発】米グーグルのグーグル・クラウド部門は、法人向けクラウド事業の年次イベント「Google Cloud Next '19」を、米サンフランシスコで4月9日から11日まで開催した。初日の基調講演で同社は、Google Cloud Platform(GCP)とオンプレミスのITインフラを統合できるKubernetesベースのプラットフォーム「Anthos」を発表。パブリッククラウド大手各社が揃って推進しているハイブリッド/マルチクラウドの戦略を、グーグルはオープンソース技術を用いて実現し、企業システムのクラウド化を支援していく方針を示した。

グーグル・クラウド部門
トーマス・クリアンCEO

 Anthosはソフトウェアベースのプラットフォームで、ユーザー企業は自社で保有するハードウェアを使用して、GCP上のKubernetes環境とシームレスにつながるITインフラを構築できる。Anthosをサポートするハードウェアの標準仕様はグーグルとインテルが共同開発しており、この仕様に沿った製品がシスコシステムズ、Dell EMC、HPE、レノボの各社から発売される。

 Anthosを利用することで、ユーザーはコンテナ化したアプリケーションを任意の場所に展開可能となる。オンプレミスのインフラに対しても自動的に機能アップデートやセキュリティーパッチが適用されるので、クラウドとオンプレミスのインフラが常に最新かつ同一のバージョンに保たれ、単一の管理コンソールによる稼働状況の監視やクラウドとオンプレミスでのセキュリティーポリシーの統一などを行うことができる。さらに、AnthosはAWSなど他社のクラウド基盤もサポートしており、ユーザーは複数のクラウドを透過的に使用できる。

 また、仮想マシンで動作している従来のアプリケーションをコンテナ化するツール「Anthos Migrate」(ベータ版)も発表された。VMwareなどの上で実行していたアプリケーションに変更を加えることなく、最小限の操作でKubernetes環境に移行できるので、クラウドへの移行がより容易になる。

 そのほか、GCPに関してはサーバーレスコンピューティング機能の「Cloud Run」や、SAP HANAのクラウド化需要を見込んだ最大メモリー容量12TBの仮想マシン、韓国・ソウルをはじめとした新リージョンの追加ロードマップなどが発表された。

 長年、米オラクルの幹部を務め、今年1月からグーグル・クラウド部門のCEOを務めるトーマス・クリアン氏は「自社データセンター用に構築したワークロードを、変更なしでGCPや他のパブリッククラウドに移せるようになるとは思いもしなかった」と述べ、複数のクラウド環境を柔軟に利用できるようにする、同社の戦略と技術の優位性を強調した。(日高 彰)
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