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ネット接続のない工場に向けセキュリティー商材を本格展開 ラインアップ強化で合弁会社を設立――トレンドマイクロ

2019/04/14 12:30

週刊BCN 2019年04月08日vol.1771掲載

 トレンドマイクロは、IoT関連ビジネスの一環として、工場向けの新商材開発に取り組んでいる。

 工場やプラントでは、生産ラインを制御する「PLC(いわゆるシーケンサー)」や、生産設備全体の稼働状況を分かりやすく可視化する「SCADA(スキャダ)」といったコンピューターが使われている。近年では、その「PLCやSCADAへのサイバー攻撃が増加している」とエバ・チェン社長兼CEO。トレンドマイクロが、工場向けのセキュリティー対策商材の開発に取り組むのはそのためだ。
 
工場に対する脅威を分かりやすく説明するための専用デモ環境

 PLCやSCADAは、一般的に外部のインターネット環境から切り離された環境にある。それだけにサイバー攻撃への備えが十分とはいえず、「一旦、攻撃を受けると生産ラインが止まるなどの被害を受けやすい」と、大三川彰彦副社長は現状を説明する。
 
エバ・チェン
社長兼CEO


 そこでトレンドマイクロは、産業用のファイアウォールやIPS(不正侵入防止システム)などの製品を充実させ、工場やプラントのセキュリティー需要に応えようとしている。開発に当たっては、台湾の産業用ネットワーク機器などを手掛けるMoxa(モクサ)と合弁会社の「TXOne Networks(ティーエックスワンネットワークス)」を設立。大三川氏は、トレンドマイクロの副社長と兼務するかたちでTXOne Networksの会長を務める。
 
大三川彰彦
副社長

 インターネットに接続していない環境でも、例えば保守作業で使うUSBメモリーや、アップデートモジュールがコンピューターウイルスの感染ルートになる。例えば、ランサムウェアを仕込んで、生産ラインの再稼働と引き替えに身代金を要求するといった事案が懸念されているという。

 トレンドマイクロは、工場における脅威を分かりやすく説明するため、持ち運びが可能な専用デモ環境を準備。営業活動を本格化させる。

 IoT関連では、自動車向けや家庭向けのセキュリティー事業にも注力していく。自動車向けではインターネットと接続するコネクティッドカーを想定し、自動車産業のノウハウや知見を持つビジネスパートナーと連携して商材開発を進める。家庭向けでは、すでに通信キャリアと協業するかたちでパソコンやスマホ、ウェブカメラ、ルーター、スマート家電などを対象とした総合セキュリティー対策を展開している。

 また、重点事業として組織横断型のセキュリティー対策とSOC(セキュリティー運用センター)への支援を挙げる。前者は、商品やサービスの企画、開発、生産、販売といった業務プロセスに沿ったセキュリティー体系を強化。SOC支援では、例えばユーザー企業が製品出荷後のセキュリティー監視を行う場合の支援などを想定している。

 こうした取り組みにより、今年度(2019年12月期)連結売上高で前年度比5.1%増の1686億円、営業利益で同6.0%増の380億円を目指す。(安藤章司)
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トレンドマイクロ=http://www.trendmicro.co.jp