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自治体の業務効率化をAI-OCRとRPAで支援 2020年度で200億円規模のビジネスを目指す――NTTデータ
2019/04/13 10:00
週刊BCN 2019年04月08日vol.1771掲載
実用性を確かめるため、NTTデータは自治体の協力を得て検証作業を進めてきた。同社に賛同したのは、町田市や郡山市、市川市などの六つの自治体。日々の業務で見かける難読文字、くせ字を模して帳票を作成し、検証作業を進めた。
1文字ずつの記入枠が設定されていない自由記述の認識率は、従来型のOCRでは30~40%だったところ、AI-OCRによって93.3%まで高めることができた。なお、AI-OCRのエンジンは、NTTデータと業務提携関係にあるAI insideの「DX Suite」を使っている。
一般的に自治体は、件数の多い紙文書のデジタルデータ化の作業を外部の専門業者に業務委託していて、件数が多くない場合に職員が手で入力している。例えば、郡山市の保育所への入所申請は年間およそ1500件。新年度に向けて申請件数が集中する時期は「担当職員の負担が大きくなり、業務効率が落ちるという課題があった」(郡山市の松田信三・こども部こども育成課課長)。とはいえ、1500件では外部委託がコスト高になってしまう。そのため、手軽に利用できるAI-OCRとRPAへの期待は大きい。
今回の実証実験では、紙の申請書を複合機で読み取り、パブリッククラウド上のAI-OCRで文字を認識し、RPAで業務システムに自動入力するという仕組みを採用した。職員は認識できなかった部分をチェックするだけで済むため、作業負荷が大幅に軽減された。
実証実験では、パブリッククラウド上のAI-OCRで処理をしたが、本番稼働に当たっては「自治体専用のセキュアなネットワーク『LGWAN』に直接つながったデータセンターでの運用が条件となる」(町田市の中田直樹・総務部情報システム担当部長)。そのため、NTTデータは、本格的な採用に向けてLGWANと接続したデータセンターでの運用を検討している。
NTTデータは今回の自治体との検証を踏まえ、紙業務の自動化ビジネスとして他の業種への展開も検討していく。2020年度には国内外累計で200億円規模のビジネスにする考えだ。(安藤章司)
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