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AI事業売上高、5年で10倍に インド企業に出資で統計技術者不足を解消――マクニカ

2019/02/11 10:00

週刊BCN 2019年02月04日vol.1762掲載

 マクニカの中島潔社長は、1月24日に開催した事業説明会で、AI事業の年間売上高を現在の約30億円から5年後に10倍の300億円まで拡大する方針を発表した。これまでに行ってきた製造業向けAI・IoTソリューションに加えて、流通などのサービス業向けにもAIを用いたデジタル変革の提案を行っていく。これまで同社のAI事業は、半導体やセンサーなどの販売とシステム構築支援が中心だったが、今後は顧客の経営課題に応じたAIモデルの開発や、システム導入後のAIモデルのメンテナンスなど、提供するサービスの充実を図っていく。

中島 潔
社長

 AI事業において新たな武器とするのが、インド・バンガロールに本社を置くAIベンダーのCrowdANALYTIXだ。同社は世界50カ国・2万人以上のデータサイエンティストを活用し、AIモデルのカスタム開発を行っている。ユーザー企業が求めるAIを機能ごとに分割し、細かく専門化されたAIモデルを複数のデータサイエンティストが並行して開発することで、出力結果の精度向上と、開発期間の短縮を実現しているという。開発したAIモデルはSaaSの形態でユーザー企業に提供する。

 マクニカは、AIの開発・運用で大きな課題となっている、スキルをもつ技術者の確保のため、2017年12月からCrowdANALYTIXと協業を開始。今年1月には同社に41.8%を出資し関係会社とすることを決定している。

 CrowdANALYTIXがすでに多くの実績を上げている分野が小売業で、例えばECサイトに登録された商品画像を解析し、商品の属性を自動的に分類することで、顧客の購買意向と「おすすめ品」として表示する商品のマッチング精度を高めるといったことが可能という。マクニカは、九州を中心にディスカウントストアを展開するトライアルホールディングスとの間で、割引キャンペーンの効果検証、店舗ごとの品ぞろえの最適化などを行うプロジェクトを開始しており、CrowdANALYTIXが開発したAIモデルを導入している。このほかにも幅広い業種のマーケティング業務の改善に活用できるほか、介護・医療分野でのサービス向上、人材に関わる課題の解決にも応用を検討しているという。

 マクニカは、製造ラインの故障予測検知や、製品検査の自動化・精度向上、自動運転技術研究用の各種センサー搭載車両などにおいてもAI関連の製品やサービスを提供してきた。これにCrowdANALYTIXとの協業によるAI開発ビジネスを加え、新ブランド「macnica.ai」のソリューション群として展開する。同社の主力事業である電子部品販売では卸売りの形態が主だったが、AI事業では課題のヒアリングから継続的なモデルの改善まで、一貫したサービスとして提供する。中島社長は「売上目標は300億円だが、既存ビジネスに比べ利益率は高い」と述べ、AI事業はその“規模感”以上に、利益面で大きな貢献が期待できるとの見方を示した。(日高 彰)
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外部リンク

マクニカ=https://www.macnica.co.jp