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成長分野の3Dプリンティング事業 適用範囲を広げ導入事例が増加 年内にフルカラー、20年に金属対応機投入へ――日本HP

2019/02/10 12:00

週刊BCN 2019年02月04日vol.1762掲載

 日本HP(岡隆史社長)は1月23日に開催した事業説明会で、主力事業のこれまでの取り組みと今後の方針を説明した。PC事業、デジタル印刷事業に並び注力している3Dプリンティング事業では、年内に新製品を国内投入するとともに、適用事例の拡大を進めていく。

秋山 仁
事業部長

 この3Dプリンティング事業では、自動車・輸送機関、工作機械・ロボット、医療、コンシューマー製品の四つの分野に取り組んでいる。メーカーなどへの導入も進んでいるという。3Dプリンターは試作機のパーツ作りに利用されることが多いが、秋山仁・3Dプリンティング事業部事業部長は「実際の製品に3Dプリンティングが活用される事例が増えてきた」と話す。

 製品パーツを量産するため、複数台の3Dプリンターを導入するメーカーが増加。秋山事業部長は「HP全体で、3割以上の顧客が複数台の3Dプリンターを導入しており、中には24台を稼働させて量産化している企業もある」と説明する。

 同社内でも、3Dプリンターを実際のモノづくりに活用している。例えば、大判プリンターヘッドの加工治具はこれまでアルミニウムを削り出して製造していたが、3Dプリンターで作成することで、部品原価を抑えることができた。また保守部品も3Dプリンターで作成することで、通常の部品用金型を保管、活用するよりもコストを抑えることができたという。現在は、3Dプリンターパーツに置き換え可能な部品の絞り込みを行うとともに、必要な時に必要な場所でパーツを作ることができる利点を生かし、サプライチェーンの構築を検討している。

 今後の展開では、「HP Jet Fusion 500/300シリーズ」を今年中に国内市場に投入する。従来機と同様、速い造形スピードと高い造形品質を備えながら小型化し、さらに価格を抑えて提供する。「HP Jet Fusion 380/580」は、フルカラーに対応し、表層のみ着色する。他社モデルとの差別化ポイントについては「石膏の粉で着色したり、アクリル樹脂の採用が主流だが、これだと、もろく最終製品に使いにくい。それに対して、380/580はナイロン樹脂なので、製品として使える」と秋山事業部長は説明する。

 想定する用途としては、プレゼンテーション用のモックアップ、生体モデル、カスタマイズ義肢装具、ラベリング、カスタマイズグッズ、治具など。米HPではフルカラー治具を作成しており、生産現場での作業担当者への注意喚起に有効で、作業の効率化、正確性の向上につながったという。

 現在はGKNとParmatechの2社と協業し、金属対応3Dプリンター「Metal Jet」の開発に取り組んでいる。国内の展開時期は未定だが、グローバルでは年内に「HP Metal Jet Production Service」を立ち上げ、HPのブランドでMetal Jetを使った造形サービスを開始。20年に先行ユーザーに、21年に一般ユーザーに発売する。(山下彰子)
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外部リンク

日本HP=http://www8.hp.com/jp/ja/home.html