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IoTでIT部門を業務改善 ユーザー限定プライベートイベントを開催――アステリア
2018/12/27 09:00
週刊BCN 2018年12月24日vol.1757掲載
IoTの昔と今、違いはプロプラかオープンか
まず、岩佐CEOが語ったのは「IoTは最近話題となったが、実は何十年も前からある」ということ。「情シス部門のパトランプや、R&D部門の『おんどとり』のように、多くの部門で昔からIoT製品が使われてきた」と語る。そうした中で、最近になって改めてIoTに注目が集まっているのは、オープン化が進んできたからだという。「かつてのIoT端末はとにかくプロプラ(プロプライエタリー)だった。ある製品は独自のシステムにしかつなげられなかったり、ある製品は専用のソフトウェアでしか動かなかったりと、そういった端末が多かった。しかし今では、ASTERIA Warpのようなプロプラな製品と連携するソリューションやオープンなIoT機器が増えてきている」として、さまざまなサービスや製品が連携できるようになったことで、分野を問わずIoTがバズワード化していったと説明した。
“IoTで効率化”その神髄は変わらないユーザー体験
しかし、現在のIoTという言葉の認知度と実際の普及率には大きな差が見られる。「IoTは知っているけど、どう取り入れていいか分からない、そもそもメリットがあるのか。そういった声をよく聞く」という岩佐CEO。その上で、IoTにおいて重要なのは「システムの導入前後でUXを変えないこと」だと強調する。そこで岩佐CEOが紹介したのは、Shiftallで導入している勤怠管理システム。工場や学校でよく使われる木製の名前札を吊り下げるボードを使ったシステムで、木札を裏返すことで社内にいるかどうかを示すことができる。一見、学校などでよく見かけるような製品だが、木札の中には磁石が入っており、裏返した動作を感知することで、社員の在否をシステムに反映することができる。
岩佐CEOは「このデバイスの特徴は、従来のUI・UXが一切変わっていないこと。これをITと距離のあるところに導入したとしても難なく受け入れられるだろう」と語る。IoTは本来、業務をより効率化するためのもの。在否確認の木札でいえば、社員の状況を簡単に確認できるようにすることで、電話の取り次ぎや在席確認の内線電話といった手間が減ることになる。しかし、従来のUI・UXを大幅に変更したことで新たな作業が発生してしまっては元も子もないのだ。
IoTができることと人ができること
また、岩佐CEOはIoTの得意分野と、人間の得意分野を理解する必要があると指摘する。「IoTが、人より正確かつ迅速にデータを集められる分野は非常に多い。しかし、全部ではない」。例えば、持続的な監視や履歴の呼び出し、人では正確に感知できない温度や照度の検知といった分野はIoTが得意とするところである。こういった部分を人からIoTに切り替えれば効率化につなげることができる。ただし、岩佐CEOは「人間でないと取れないデータはまだまだ多い」と強調する。人の感情や気分などはIoTではまだ対応できていない。IoTを使って効率化すべきところと人が対応すべきところとを見極める必要がある。「IoTは業務を効率化できるが、人減らしをするわけではない。ここを履き違えると、導入に失敗する可能性が高くなる」と警鐘を鳴らす。
「IoTで人間そのものを強化するのではなく、IoTで人間ができるおもてなしを強化するという考え方が重要」(岩佐CEO)。全てをシステム任せにするのではなく、人とシステムを組み合わせることでより良い顧客体験を生むことができるのである。
IoT導入でもたらされる情報システム部門の変化
講演の最後で岩佐CEOは、IoTの導入によって今後の情報システム部門にどのような変化があるかについて語った。現在の情報システム部門は、いわゆる雑用などによって各部門からのしわ寄せが集まる傾向にある。「IoTが導入され、自動化するシステムが増えていけば、複雑なシステムを構築する負担が減り、おのずとしわ寄せはなくなっていく」と語る。
一方で、さまざまなデータを集めていくことで、これまで各部門が感覚的にしか捉えていなかった知見をデータとして把握できるようになる。「営業・CSの顧客情報や企画・開発が集めるユーザーニーズなどを基に、各部門に対して情報システム部門が介入する場面が増えていく」と岩佐CEOは考える。
従来はシステム側での業務がメインだった情報システム部門だが、今後は「よりリアル側へとカバーする範囲が広がっていく」という。これにより、「情報システム部門の仕事はいい意味で増えていく。皆さんの仕事の重要性はより増していくだろう」と会場に語りかけた。
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