その他
JISAの「ASOCIO」国際会議 新しいフェーズへ移行する時期がきた 多国間の政策提言、より多面的な関係構築へ
2018/09/14 09:00
週刊BCN 2018年09月10日vol.1742掲載
同会議の最大の特徴は、複数の国・地域の情報サービス団体と交流できるマルチプラットフォームだと、JISAの河内淳子・国際部長は指摘。特定の国や地域だけでなく、「アジア・オセアニア全体の情報サービス産業を俯瞰できる活動はほかにない」と話す。実際、東は日本、西はパキスタン、北はモンゴル、南はオーストラリア/ニュージーランドまで、中国本土を除いて、アジア・オセアニアのほぼ全域をカバー。加盟団体の会員企業総数は1万社を超えている。
日本の情報サービス業界からみたASOCIOの役割を振り返ってみると、1984年の設立から2000年代までは、主に日本からアジア市場へ進出する最初の接点としての役割を担ってきた。タイやマレーシアなどに進出する日系企業をサポートするため、現地での協力会社との出会いの場として機能したり、海外オフショアソフト開発のビジネスパートナー探しを支援したりすることに、「ASOCIOの活動は重要な役割を果たしてきた」(河内部長)と話す。
しかし、10年代に入るとアジア進出は一巡し、ベトナムやミャンマーなどでの海外オフショア開発も動き始める。河内部長は「これまで果たしてきたASOCIOの役割は、新しいフェーズへと移行するタイミングにきている」と捉えている。
例えば、日本の個人情報保護、欧州のデータ保護規則のようなルールづくりが、ASOCIO加盟各国でも進められている。そのため、ASOCIO加盟団体を通じて、アジア・オセアニア地域で互換性のあるルールづくりを政策提言するといった活動が、新しいフェーズでは考えられている。
ほかにも、仏教徒が多いスリランカは、文化的に日本と相性のいい国でありながら、これまで日本の情報サービス業界とあまり接点がなかった。同じく仏教徒が多いミャンマーや漢字文化を共有するベトナムとは多くの実績があることから、「スリランカは有力なビジネスパートナーになる潜在力がある」(国際部国際連携課の會木千裕氏)とみる。ビジネス的な側面だけでなく、文化的、宗教的背景まで踏み込んだ「より多面的な関係づくりにASOCIOの活動の幅を広げていくことも大切だ」と話している。
ASOCIOは、開催国の情報サービス団体が持ち回りで開催しており、今回はJISAが主催。スポンサーには、NTTデータやTIS、野村総合研究所、富士通グループなど26社が名を連ねている。(安藤章司)
- 1
関連記事
DAL、「ACMSシリーズ」が全銀協標準通信プロトコルの相互接続性を実証
中国・山東省の師創、サービス貿易産業パーク誘致の情報収集で来日